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トリオ 17

 毛むくじゃらの様子が可笑しい。

 いつもなら椅子に座っているのに、床に寝そべっているのだ。

 寝転がるならソファーか自室のベッドで良いと言うのに、リビングの床である。そしてしばらくすると椅子に座り、またしばらくすると床に寝そべる。

 どうしたのか?それを声に出して聞かず、ジッと様子を眺めているとスグに目が合って、困った風に笑われた。

 こいつがこんな顔をする時は、絶対、必ず、100%とんでもない事がある。

 「なにがあったん?」

 「いや、大丈夫」

 大丈夫と言って大丈夫だった試しがない事を自覚していないのだろうか?それに、本当に何ともない時は「え?何が?」と答えるんだからバレバレだ。

 「どっか痛い?気分悪い?怪我した?しんどい?風邪?食中毒?」

 畳み掛けるように言うと、ゆっくりと起き上がった毛むくじゃら。その顔は真剣そのものだ。

 本格的に何処かが可笑しい。

 「……昨日から……痛い」

 そう言ってゆっくりと、後ろを気にしながら慎重に座り込むから。もう、何処が痛いのかは予想がついた。

 タブレットの電源を入れ、その1文字を検索してみるが、どんな状態なのだろう?大きさによっては入院って事になるんだろうし、膿が溜まるタイプのは自然治癒しないんだから速攻病院だ。

 貴方のソレはどのタイプ?なんて直接聞いて良いものなのだろうか?いや、聞かれたって答えに困るよな?多分……俺なら恥ずかしい。

 だったら……。

 「見せて」

 「ブゥ!」

 ソファーの所にいる1代目が爽快に吹いた。

 確かに……可笑しな事を言ってしまった……。

 タブレットに視線を戻して基本的な知識の勉強をしてみると、膿が溜まるタイプではないソレは、生活習慣の見直しで改善出来る。と、書いてあった。

 「3分以上トイレに入らない。これアウトやな。いきまない排便をする。これは?」

 「……アウト」

 「刺激物をとらない、コレもアウトかな。喫煙もアウト。長時間同じ体制をとらない。これは?」

 「あ~……アウト」

 腸の調子も、食中毒を起こしていたのだから悪いだろうし、過呼吸にもなっていたからストレスも多かっただろう。と言う事は、全てアウト!

 「お風呂で暖めると良いみたいやで。清潔に保つんも大事ってさ」

 「じゃあ風呂入ってくるわ」

 こうして風呂場に向かった毛むくじゃら。

 その間に俺と1代目は歯と顔を洗って寝る準備を整え、おやすみ。と、別れた。

 毛むくじゃらの部屋に入って布団を敷いて、寝転がりながらタブレットで、良く効く市販薬。と言うページを読む。

 ステロイド剤有りと無し、どちらが良いのだろう?

 炎症があれば有り。ただし化膿が有る場合は使用不可。症状が穏やかなら無し……こんなフワッとした解釈で良いのだろうか?けど、他のページを探してもこれ以上の情報が無い。

 ガチャ。

 髪を拭きながら部屋に戻ってきた毛むくじゃら。

 炎症が有るのか、無いのか。しっかりと見て薬を選ばなければならない。

 「今、痛い?」

 「暖まったら大分マシになったわ」

 お風呂に入って効果を感じられると言う事は、膿が溜まるタイプのソレではなさそうだ。それに座っている時ではなく、座ろうとして中腰になっている状態が1番痛そうにしているから、内痔核かな?

 「炎症は?化膿してる?」

 「自分で見えへんし、分からん」

 「じゃあ見るわ」

 虫眼鏡を片手に立ち上がると、毛むくじゃらはしばらくポカンとしてから、

 「絶対に触るなよ」

 と。

 「……え?」

 「……フリちゃうからな?」

 「あ、うん」

 「絶対触るなよ」

 「え?」

 「フリちゃうって言うてんねん!」

 「うん……」

 「絶対触るなよ!」

 「え?え?」

 「ブゥ!」

 1代目の部屋から、爽快な吹き出し音が聞こえた。

 現在、状態は大分良くなっているらしく、痛みはそんなにないそうですので、ご心配は不要です!

 そして、この話は毛むくじゃらにより「書いて良いよ」と言われたので、ちゃんと許可を取って書いております。

 何故許可を出してくれたのかは、謎です!

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