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1代目 6
ソファーでウトウトしつつ、そろそろ来る頃だろうと待っていると、トトトっと近付いてきた1代目。
言う事は分かっている「笑わせて」だ。
なので俺は先に、
「笑ったら駄目ですよ」
と、話を始めた。
「はい!」
どうして1代目は話を聞く時、ソファーの下に正座しながら俺の顔を真正面から見てくるのだろう?
「昔々ある所にお爺さんとお婆さんがいました」
「昔話?」
「お爺さんは山に芝刈りに、お婆さんは川に洗濯に行きました」
「はい」
「すると川の上流から大きな桃がドンブラコ~ドンブラコ~と流れてきました」
「はい」
「おばあさんはその桃を家に持ち帰り、ナタでエイヤァと割りました」
「はい」
「すると中からは桃みたいな桃が出て・・・」
「桃みたいな桃て!」
「はい、おやすみ」
1代目の癖は、ツッコんだ後に笑う事である。