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毛むくじゃら 4

 9時よりも少し早めに着いた毛むくじゃらと1代目の家。

 ピンポーン♪

 呼び鈴を鳴らすと、いつもなら「はいはい」と言いながら開く玄関が、無言でガッと開いた。

 ドアの向こうに立っている毛むくじゃらは、

 「なんとなく、来んかと思ってた」

 とか言いながら2歩後ろに下がって俺を迎え入れようとしている。

 きっとここで「来んかったら良かった?」とか言えば毛むくじゃらの機嫌を悪くさせる事が出来るのだろうが、俺もそこまで冒険者ではない。

 「お邪魔します」

 大人しくお邪魔した。

 こうして無事に居候する事が出来た翌日の昼食後、ソファーで少しウトウトして目覚めると、見た事のあるお年玉袋がテーブルの上に置かれていた。

 手にとって開けて見ると、それはやっぱり鍵。

 リビングには誰もいないので誰が置いたのかは分からないが、きっと今でも2人は俺に鍵を渡そうとしているのだろう。

 理由もないのに受け取れないと言っているのに、何故分かってもらえないのだろう?

 さて……夕飯の買出しに行くか。

 自転車に乗ってスーパーに向かい、安売りしていた鮭とエノキを購入してマンションに戻ったのだが、

 ガコン。

 鍵が閉められていた。

 買い物に行く時はいつも「行ってきます」と声をかけてから行く。そうすると鍵を開けたままにしてくれているのだが……。

 ピンポーン♪

 呼び鈴を鳴らすも無反応。

 2人して弁当でも買いに出たのかも知れない。じゃあ車があるかどうか見てくるか。

 買い物袋をドアノブに引っ掛けて駐車場を確認すると、車はあった。

 歩いて何処かへ?それとも 入れ違いにでもなったのだろうか?

 ピンポーン♪

 やはり無反応。

 外食でもしに行ったのだろうか?だとしたら鮭をどうしよう。ドアノブにかけて置いた所であの2人が帰ってくる時間が遅ければ痛むだろうし、痛まなかったとしてもあの2人がこの鮭を調理出来る保証もない。

 いや、きっと無理だ。

 持って帰ろう。

 そうと決まれば痛む前に帰らなければ!

 急いで階段を下り始めた所でガチャンとドアが開いた。振り返ると毛むくじゃらが手招きしてるから、俺はとりあえず買った物を冷蔵庫の中に入れてからソファーに座った。

 「鍵あったら便利やなーとか、思わんかった?」

 人が留守の間に部屋に入るなんて不法侵入だろ。それを便利だと思ってどうするんだ?部屋に誰もいなければ帰るし、帰れないなら待つ。それだけ。

 そもそも、何でそんなに鍵を持たせたいのかが分からない。

 俺が鍵を受け取った後に何かがなくなったら、真っ先に考えるだろ?俺が取ったんじゃないか?って。

 問題が起こりそうな事を避けたいだけなのだ。

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