トリオ 4
1代目を笑わせた後、俺はソファーに寝転がって少しの間寝ていた。
毛むくじゃらが帰ってきた音で目が覚めたのだが、なんとなく寝転んだままいると、また睡魔がやって来て、ゆっくりと眠りに落ちる。
次に目が覚めた時、毛むくじゃらと1代目は夕食のカップメンを食べている所だった。
無言で食べている2人をボンヤリ眺めているが、2人は俺が起きている事には気付かない。
だったら寝た振りをしていよう。
目を閉じて暫く、食事を終えた2人がボソボソと会話を始めた。
やっと打ち解けた2人の話題は、狸寝入りをしている俺の事だったりする。
「起きませんね」
「しんどいんやろ」
きっと今は2人して俺を眺めているのだろう、とか思うと緊張してしょうがないので、寝返りをうつ振りをして2人に背を向けた。
沈黙する2人。
時計の秒針しか聞こえない空間。
これは駄目だ。背中に刺さる視線が痛い。しかし、どうやって起きれば良い?
ん~とか伸びをしながら?わざとらしいにも程がある!
突然ムクリと?どこのホラーだ!
ソファーから落ちる?痛いのは嫌だ。
どうしたら良いのか分からないまま右手をゆっくりと上げソファーの背凭れを掴み、ゆっくりと上半身を起こし、またゆっくりと後ろを振り返る。
俺を見ている2人はまだ無言だ。
狸寝入りがバレていたのだろうか?だったらそう言ってくれたら良いのに、どうして無言?もしかして怒ってる?
立ち上がろうとした左足がソファーからズレ落ちてガクンと体が傾く。ソレを耐えて右足をズリズリとソファーから下ろし、左足をスーッと前へ。前屈みだった体を少し改め、右足を小さく前に。おはよう、と意味を込めて右手を前に出した所で、
「ゾンビ歩き止めぃ!」
毛むくじゃらがそう言いながら俺の右手を掴んで来ると、1代目が2歩ほど後退り、
「引くほど上手いですよ……」
そう言った。
普通に歩いただけですが!
しかし、そんなに上手いのなら、ゾンビ歩きを特技にしようかな。