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毛むくじゃら 26

 毛むくじゃらが食器を洗っている。

 カチャン、カチャンと洗っている音しか聞こえて来ない日曜日の午後。

 1代目はソファーに座って携帯ゲームをしていたらしいが、今は寝オチてしまっていて、俺は昼寝から目覚めたばかり。

 1代目を起こさないようにコソッと立ち上がり、食器の片付けを手伝う為にキッチンに向かって歩き出した。

 驚かせる為ではなく手伝う為なので、足音も消さずに普通に歩いて近付いた。

 それなのに、

 「もー!トコトコ言えって言うてるやろ!」

 怒られた。

 そんなにも存在感がないのか……だったら、存在を知らしめる為に少々派手にした方が良いのかも知れない。

 「トコトコ」

 食器洗いを再開させた毛むくじゃらの真後ろに立ち、トコトコと言いながら毛むくじゃらのズボンをずらしてみた。

 「ゴラァ!悪さばっかして!」

 毛むくじゃらはイタズラやらドッキリの事を「悪さ」と言うのだが、俺はその言い方が好きだ。

 なので

 「なぁ、俺からイタズラ取ったら何が残る?」

 そう尋ねて、

 「なんも残らん」

 と、即答される程にはイタズラを仕掛け続けてしまっている。

 仲の良い人間に「わっ」と驚かされた場合と、嫌いな人間から「わっ」と驚かされた場合とでは、同じドッキリの内容でも反応は違う。

 毛むくじゃらは、嫌いな人間から驚かされると無視をするか、ブチ切れるかのどちらかだろう。だから「悪さばっかりして」と言う反応は、俺を仲の良い人間だと思ってくれている証拠なのだと思う。

 イタズラは、その確認作業なのだ。

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