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間章  その理由(1)

 いつものようにかっちゃんこと、近藤局長の部屋に幹部連が集まる。 


 総司が来て、斉藤がきて、山南さんが来て…と大方の奴らがそろった。みんな勝手気ままにわいわいと話している。


「本当にだらしないぜ」


「あれじゃあ、実戦になったら危ないですよ」


 こう話しているのは平助と総司。どうやら新入りたちがいかにダメかということを話しているらしい。それに他の連中も加わる。


 新入りか。本当に新入りが増えたよな。俺はふっと思い出して、口を挟んだ。


「そういや、あいつらはどうなんだ。宮月んとこは」


「ああ、俊ですね」


 総司が言った言葉に、皆が『ああ、あいつかぁ』という顔をした。


「彩乃はまだいいけど、俊はダメ。全然使えねぇよ」


 即評価を下したのは永倉新八。


「朝稽古のときなんて酷いもんだぜ」


「そうだったね」


 かっちゃんが笑いながら口を挟む。だから笑い事じゃねぇって。


「本当は強いんですよ」


 これを言うのは総司。


「おめぇの宮月びいきは分かったよ」


 俺が即座に言うと、むくれたような顔を見せる。


 そんなときにぼそりと言った斉藤の言葉が、皆の視線を集めた。


「あいつの突きは使えると思う」


 その中で淡々と斉藤が言葉を続ける。


「素人の動きと違う」


「あ、そうでしょ?」


 総司がわが意を得たりと元気になった。


「そうなのか? でもあいつ、朝稽古のときに、かなりやられてるぜ?」


 これは原田左之助。


 その言葉に、斉藤がちらりと左之を見た。


「あいつが当たっているのは、柔な剣だけだ」


「はぁ?」


 一同の声がそろう。


「ちょっと待てよ。じゃあ、打ち込んでいる最中に選んで当たりに行ってるっていうのかよ」


 左之の言葉に、斉藤が黙って頷く。


「まじかよ」


 左之が唸るその横で総司がぽんと手を叩いた。


「そうですよ。私がいくら打ち込んでも当たらないですもん」


 いやいや。ちょっと待て、それはヘンだろ。


 そう思った俺の心の声を山南さんが代弁する。


「なんのために、そんなことをするんです?」


「理由は知らねぇけど、確かに、何回かいざこざに巻き込まれても、あいつ、怪我しねぇよな」


 と平助。


「そういえば、悠々と彩乃を守るよなぁ」


 と左之。


 おめぇ、女に関しては良く見てんな。俺も人のことは言えねぇけどよ。


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