第6章 政変…のはずですが(13)
僕はたすきを袂から出した。そして女の子を抱き上げる。
「しっかり掴まっていて」
そう言って、女の子の手を自分の首に回させると、たすきで女子の身体を自分に結びつけた。逆おんぶの発想だ。
そして片手で女の子を抱き上げたまま、枝をつかんで、もう片方の手で身体を持ち上げる。
まるでサルの親子だね。こりゃ。
あとは楽だった。木から木へ登っていけばいい。
ほぼ天辺まで来たところで、比較的太そうな枝に腰掛けて、女の子を自分の膝に乗せるように座りなおした。向こうが見えるように。でも落ちないように片腕は回したまま。
我ながら器用だね。
「うわ~。すごいっ!」
「しっ! 見つかっちゃうよ」
「あっ」
女の子は慌てて、自分の口を両手でふさぐ。
危ないなぁ。もう。
僕が手を離すことなんて考えてないみたいだ。
眼下に広がる光景は、この時代の人間ではなかなか見ることのない風景だろう。
遠くの山や家や、お寺が小さく見えている。そして目の端に入る二条城。京の街はなんとなく落ち着かず、いつもよりも人が多く見えるのは、やはり何かが起きているのだろう。
「あ、みんながいるよ!」
女の子が小声で言ったとたんに、彩乃がこちらを見た。今の声が聞こえたね。
見下ろすと、どうやら僕らが最後らしい。みんな集まって僕らを探しているみたいだった。
彩乃が僕をじっと見てる。
うーん。降りてこいってことだよね~。
「降りるよ」
「え~。まだ見つかってないよ」
「見つかったちゃったみたいだよ」
え? って女の子が言って下を見る。
下ではちょうどみんながこちらを見上げて指を差しているところだった。




