表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/639

第1章  隊士になります(4)

 とりあえず、彩乃に後ろを向かせる。その言葉に素っ裸の男(一応、ふんどしはしているが)は、我に返ったらしく、足元にあった着物を引き寄せて肩からかけながら、眉をひそめた。


「なんだよ。そいつら」


 不機嫌極まりない声だ。また沖田がへにゃりと笑った。


「仮隊士ですよ。仲間になりたいそうです」

「で、その女は?」


 あ、そういや、彩乃をどうするか決めてなかったな。女人禁制っていうのはいつからだったっけ? 決まりごとが多くなってからは女人禁制がとられたと思ったけど、その前がどうなっていたかなんてこと、知らないなぁ。


「隊士希望だそうですよ」


 僕が考え込んでいたら、勝手に沖田が答えていた。


「女だろ?」

「それなり強いそうです」


 素っ裸男の眉間のしわが深くなる。


「試したのか?」


「いいえ。まだ構えを見ただけですけどね」


 あ~、ごちゃごちゃうるさい。


「はーい」


 手を上げてみた。二人の視線がこちらに突き刺さる。


「どうせだったら、もういいから僕たち二人まとめて、実力みてください。その方が早いから。それで、その前に、そこのあなた、それ隠してくれないかな」


 着物を肩にかけただけの素っ裸男に視線を送る。むっとしつつも、そいつは前を閉めてくれた。ああ、良かった。妹に変なもの見せないで欲しい。


「わたしも見てみたかったんですよ。強そうな感じだったから」


 沖田が言う。強そうじゃなくて、実際強いから。


「じゃあ、部屋はここで。道場、行きましょうか。服装は…そのままでいいですか?」


 丁寧に訊ねてくる言葉に、自分と彩乃の服装をちらりとみた。着替えようにも着替えがないしね。僕の返事を待って、沖田が今来たところを戻り始める。それに彩乃と二人で付いていくと、その後ろに元素っ裸男もついてきた。


 ちらりと沖田が後ろに視線を送る。


「平助も興味ありますか?」


 あ、この人が藤堂平助か。わりと整った顔をしている。一昔前のアイドル系(笑)


「ああ」


 出会いが最悪だったせいか、女に納得してないのか、眉間のしわが取れないままに、藤堂平助がついてくる。なんか雰囲気は犬がついてくる感じだ。




 そうこうしているうちに、板張りのお堂のようなところについた。


 ほいっと、部屋の隅においてあった竹刀を渡される。日本の剣道の走りだね。江戸時代末期は防具をつけて竹刀での打ち合いが主流になってくるんだよね。彩乃が剣道をやるときに調べたことが、ちょっとだけ役に立った感じだ。


 防具を渡されたが、うーん、つけ方がわからん。彩乃はとなりでさくさくと着付けていっている。さすがだ。


 防具は正直、臭い。よくこんなものつけられるなぁと思うけれど、彩乃は何も言わないし、気にしてないように見えた。僕はダメだ。


 ぶらぶらと防具をもてあましていると、彩乃の準備が完了した。


「レディーファーストで」


 というと、面の向こう側から睨まれた。ま、彩乃に睨まれても怖くないけど。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ