第3章 新たな出会い(5)
「いい天気だな~」
庭先で洗濯ものを干しながら、僕は伸びをした。
女中さんが通いで来てくれて、少しは家事から解放されたけど、やっぱり全部は無理で。たまにこうやって洗濯を自分でしたりしてる。
彩乃の分とか、ついでにと頼まれた総司の分とか、ついでにと頼まれた斉藤の分とか、ついでにと頼まれた土方さんの分とか、ついでにと…僕は洗濯機かっ!
一人ツッコミ。むなしい。
縁側では、さっきまで干すのを手伝っていた彩乃が、繕いものをしていた。
そこへ次から次へと邪魔が入っている。
「おい、彩乃、何やってんだよ」
これは平助。
「おさいほう~」
「そんなことよりさぁ、俺と出かけねぇ?」
「どこへ」
「そ、そうだな。芝居とかどうだ」
「ん~。いかなーい」
平助、撃沈。しばらく彩乃の手元を見ていたが、飽きたのか退場。
「彩乃ちゃん? なにやってるの?」
これは左之。
「お裁縫だよ」
「へぇ~。今度、俺のも繕ってくれよ。彩乃ちゃんに繕ってもらったら、いつでも彩乃ちゃんを感じていられるからよ」
流し目で彩乃を見るが、彩乃はちらりと左之を見ると、
「ん~。自分のことは自分でやりなさいって、お兄ちゃんが言ってたよ?」
と、小首をかしげて左之を見る。
左之お得意の流し目も彩乃には効かなかった。
左之もとぼとぼと去る。
「おめぇ、何やってんだ?」
これは永倉。
「お裁縫」
「おめぇも女っぽいところがあるんだな。剣が強いから、たまに間違うけどよ」
「わたしは女の子だよ?」
「分かってるよ。そんなこたぁ。でもよ、女らしくしてると、可愛くていいぜ」
「ありがとう」
にっこり。
「お、おぅ! 後でまた稽古の相手しろよな」
「はーい」
永倉、自滅。
お、総司がやってきた。真打登場か?
とか思ったら、
「見回りの時間ですよ」
と声をかけられた。慌てて残りの洗濯ものを干して用意をする。
ぽかぽかとしたいい陽気で、初夏の風が心地いい。腰に差した刀さえなければ、ちょっとしたピクニックみたいだった。
あ~、鳥が飛んでるな~なんて、空を見ながら歩いていた。それじゃあ、見回りにならないんだけどね(笑)
そんな僕らが、広い道の角まで来たときだった。
「覚悟!」
ばらばらと二十数人の男たちが抜き身の刀をかざして、僕たちを取り囲んだ。周りを囲まれて、自然とこちらは背中合わせになる。
刀に手をかけたところで、僕は思わず考え込んだ。どっちを抜くべきだ?
使いなれてる細いほうか、振り回すのが適当な日本刀か。
刀を抜かずに考えているうちに、敵が突っ込んできてしまった。
思わず相手の手を取って、一回転させたところで、みぞおちに肘を落として気絶させておく。




