表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
324/639

第3章  七歳にして男女席を…同席?!(9)

 がばりと総司が車のシートから起き上がった。勢いがあったせいで車ごと揺れる。何事かと思えば、真剣に僕を見る総司の瞳と目があった。


「そういえば…俊」


「何」


「尻尾…あるんですよね?」


 え? 今それ? おーい。結構感動的な話をしたと思ったのに、そこに行くわけ?


「いや…あるけど…」


「普段、どうしてるんです? そういえば、羽もありましたよね?」


「ああ、翼ね。うん。あるよ。両方ともしまってある」


「えっ! しまえるものなんですか?」


「しまえなかったら、出しっぱなしになるじゃない。僕が人間に見えないでしょ」


 僕は眉を顰めた。


「いや…そうなんですけど…どうやってしまっているのかと思いまして」


「企業秘密だよ」


「は?」


「ナイショ」


 そして唐突に思い出す。一度翼を広げた後で、上手くしまえてないことに気付かずに、斉藤に背中を触られたことがあった。


 あれは焦った。直接翼に触られることはあまりないから、かなりびっくりした。結構敏感なんだよね。翼の部分って。


「今度、見せてください」


「嫌だよ。何が悲しくて、男にそんなものを見せないといけないわけ?」


「女だったらいいんですか?」


 僕は一瞬考えこんだ。女だったらいいかな? うーん。マジマジと見られるのはやっぱり嫌かな。


「どっちも嫌だ。必要がないのに見せるのは御免だね」


「じゃあ、必要になってください」


 僕は吹き出した。


「そんなに見たいわけ?」


「見たいです。見たことがないものは見たいですよ」


「目の前で広げて見せたじゃない」


「あのときはゆっくり見ることができませんでした」


 そりゃそうだ。


「そのうちにね」


 そう答えたところで、彩乃から連絡が来た。


 帰り道、総司はそのまま初の助手席で、後ろのシートに彩乃を乗せて僕らは帰宅した。



 総司のコンプレックスは…打ち消すには、まだしばらくかかるだろうね。ま、総司だし。なんとかなるでしょ。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ