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第3章  七歳にして男女席を…同席?!(6)

 さて、じゃあ牽制しておくか。僕は余計なことを言うべく口を開いた。


「じゃあ、総司と一緒にしばらく待ってるよ。でも僕はいいけど、婚約者の総司をあまり待たせないようにね」


 そう言った瞬間に、周りの女の子が一斉に「きゃーっ」と黄色い声をあげる。


「え? 彩乃ちゃん、婚約者がいるの?」


「うそっ」


 男の子が慌てて彩乃に問いただす。彩乃は真赤になって僕を睨んだ。


「お兄ちゃんっ!」


「何?」


「どうしてここでそういうこと言うのっ」


 彩乃が否定しなかったことで、さらに女の子が「わぁ」とか「きゃぁ」とか騒ぎ出す。


「お兄さん…ですよね?」


 女の子の一人が僕に確認するから、僕は頷いてから総司を親指で示した。


「そ、僕は兄。婚約者はそっち。彩乃と僕の剣の師匠」


「え~っ」


 とまた大騒ぎ。別に嘘は何も言ってない。


「彩乃ちゃん、剣って…?」


 男の子の一人が訪ねてくるのに、彩乃が口ごもりつつ答えた。


「えっと…剣道やってて…」


 また女の子から「かっこいいっ!」と声が上がる。もう黄色い声の大判振る舞いだ。


 そのうち、一人の男の子が「あっ」と声をあげた。


「聞いたことある。宮月彩乃って…全国大会の一位とか、何回も取ってない? 俺のアニキが剣道の雑誌買ってて。よく名前、載ってるよね」


「う、…うん」


 彩乃が気まずそうに小さな声で答えると、また「すげぇ」「すごい」と男女両方から声が上がった。


「じゃあ、彩乃ちゃんの先生ってことは、彩乃ちゃんより強いの?」


 女の子からされた質問に、こればかりは彩乃がしっかりと頷いた。


「総司さんはとっても強いの」


 それから総司に向かってにっこり笑いかける。それを見て総司も彩乃に微笑み返して…また「きゃ~」という悲鳴が上がった。


 あ~。もうそろそろいいかなぁ。このパフォーマンス。


 もう彩乃に総司がいるっていうことは、印象付けられたと思うし、総司が強いってことで彩乃に手を出すやつも少なくなるに違いない。うん。


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