第3章 新たな出会い(1)
「島原、行こうぜ。島原」
ちょっと給金が入ったとたんに、永倉が誘いに来る。
この人たち、島原、好きだよね~。
娯楽の無い時代の唯一の娯楽と言えなくはないか。
「おーい、ぱっつぁん、俊は誘ったか…って、誘ってる最中か」
がらりとふすまが開いて、左之まで来た。
「誰が行くの?」
「えっと、左之だろ、平助だろ、沖田と斉藤は声をかけたけど、来ないと思うぜ。あとは早太郎と…」
と、永倉が数人の名前を言い出す。
島原っていうのは、正式には「西新屋敷」と言って…なんだろう。正しい説明ではないけど、居酒屋とキャバクラとソープを混ぜたところって感じだろうか。うーん。もうちょっと高級かなぁ。
道行く人も男性が多いには多いけど、女性もいたし、ご老人もいた。
「あ~、僕は…今日はいいや」
思わず断っていた。まあ、舞妓や芸妓さんは綺麗だし、現代では見られない舞を見られるのはいいんだけど、ずーっと胡坐で座ってるのがなかなか辛い。
椅子がないから、正座か胡坐だもん。結構辛いんだよね~。
「え~。来いよ」
「うーん。また誘ってよ。今日はちょっと用事があって」
残念そうな顔をする永倉に、そう言って断った。言いながら善右衛門さんのところに行こうかな~とか思いながら。
先日の芹沢さんの一件以来、同族の善右衛門さんのところには、ちょくちょく顔を出していた。
「しかたないな~」
そう言って永倉が立ち去った。どうやら女性ウケが良いらしく、僕が行くと、多少女性のレベルが上がるらしい。まいったね。
彩乃に声をかけようかと思ったら、総司と二人で縁側に腰をかけて、団子を食べながら白湯を飲んでいる。
「彩乃さん」
「はい?」
「…」
「なんでしょう?」
「い、いえ、おいしいですね。この団子」
「はい!」
「わたし…あのぅ…が、好きなんです」
「はい。わたしもお団子、好きですよ」
「いえ、あの」
「はい?」
「…お団子、おいしいですよね(涙)」
「はい!」
以上、二人の会話でした。
総司のヘタレ。ま、彩乃に手を出そうなんて、百年早いよ。
そして彩乃は超鈍感だから(笑)
僕たちの一族は、人間と同様に二十歳ぐらいまで成長すると、その後はかなりゆっくりと年を取ることになる。最初の二十年は子供時代だといってもいい。彩乃について言えば外見は年頃の娘だけど、中身は小学生か、中学生か…そんな感じだ。
総司は無茶をする男じゃないということは、ここのところ見ていて分かったので、進展はないと思ってそのままにしておくことにした。
せいぜいがんばってくれwww




