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第21章  池田屋事変(daylight) (4)

 彩乃を迎えに行って鴨川のほとりで、二人してぼーっとする。


 あとちょっとしたら夕暮れで。あとちょっとしたら池田屋だ。


「はぁ」


「お兄ちゃん?」


「うん。今日だよ。事件の日」


「いけ」


「しーっ」


 僕は彩乃を遮った。ひとけが無いけど、誰が聞いているか分からないしね。


「彩乃。総司は倒れるけど、死なないから」


「うん」


「だから落ち着いて行動してね」


「分かった」


「身を守ることを第一に」


「うん」


「それから…」


 何を言えばいい? 殺すな? 言えるわけがない。


「本当に来るの?」


「行く」


「人を殺さないといけないかもしれないよ?」


「それでも行く」


 僕は盛大にため息をついた。


「僕も全容は覚えていない。何が起こるかわからない」


「うん」


 僕はそれ以上何も言えずに鴨川を眺めた。


「行こう?」


 彩乃が僕の袖を引っ張る。


 ああ、行きたくない。


 妹に引っ張られながら、僕はのろのろと動き出した。 




 待ち合わせ時間よりも早く、皆集まっていた。


 その中で手早く準備を整える。鉢金をつけたり、着込みという鎖帷子みたいなのを着たり。結構重いと思うんだけど、そこは彩乃だから。彼女も軽々と着こんでいた。


 彩乃は着込みを着るために、ばっさりと上着を脱いでくれたもんだから、僕は慌てて隠す羽目になった。本人はきょとんとしてたけど。


 まったく。現代と違うんだから。下に白い着物を着ていても脱いだらダメなの。


 それから人によっては、まだ持っていた浅葱色の隊服を羽織っていた。僕も彩乃もとっくの昔に、汚れてダメになっちゃっていたけどね。




 じっと待っていたけど、会津藩やその他の応援が来ないのにしびれを切らして、先に新撰組だけで動くことになる。待ちきれなかったって感じだけどね。


潜伏先として怪しいのは三条から四条にかけての宿屋、茶屋、料亭などということで、鴨川の東側と西側の2ルートに分かれる。東側は縄手通りを上がる。西側は木屋町通り。


 東側ルートのほうが怪しそうだという結論になって、そっちがメインに構成される。土方さんが率いる二十四名。何かあったらさらにそこから源さん率いるチームが分かれるよことにした。とりあえず人数配分とリーダーだけ決めて、実際のチーム編成が始まる。


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