表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/639

第2章  成り行き任せのその日暮らし(4)


 合気道っていうのは、相手の力を利用するから、相手の勢いがあればあるほど、利用しやすくて、そのまんま相手の体勢を崩せる。ま、最初の一撃を見極めるのが大事だけど。


 って、ちょっと待って。ダメじゃん。

 負けるつもり、満々だったのに、ついやっちゃったよ。


 ぱっと手を離して、永倉さんを立ち上がらせると、土方さんに顔を向ける。


「だから~、土方さん、剣術教えてくださいよ」


 土方さん、無言。


「やっぱりここは剣でしょ。剣」


 ダメ押しで言ってみる。土方さんは呆れるような顔をして、大きなため息をついた。


「総司、お前教えてやれ」


 え~って声をあげる総司。土方さん、何かというと総司に振るな。

 しかし…道場の中の視線が冷たいよ。まあ仕方ないかな。

 これから仲良くなればいいよね。うん。


 なんて前向き(笑)


 総司が僕のところに来たところで、皆の関心は薄れたらしく、それぞれに稽古を始める。彩乃は藤堂平助に捕まっていた。昨日負かしたからかな。


「俊」


 総司がにっこり笑う。


「はい?」


 突然飛んでくる竹刀。とっさに受けると、切り返してまた打ってくる。それも打ち返すと次は、胴を狙ってくるので、そこも竹刀で受ける。しばらくあちこち打たれるのを防いでいて、ふっと総司の目を見たら…。


 マジですよ。これ。本気と書いて、マジと読む…とか。

 いやいや。目がやばい。


 パンとはじいたと同時に、半歩下がって捌いたつもりが、突きが来た。

 防具着てないし。受けたら痛いし…。

 突きをはじいたら、ドンと踏み込みの音がした瞬間に3連撃。


 いや、見たいって言ったよ。三段突き。

 見たいって言ったけど、今やらなくてもいいじゃん。


 考えるより先に身体が動いちゃいました。すみません。


 半身で捌いて、総司の首筋に手刀。くてん…と総司が落ちた瞬間に我に返った。


 何やってんだよ~。


 総司の殺気が本気すぎて、ついこっちも本気出しました。

 さすがに殺さなかったけど。


「てめぇ、何やってやがるっ!!」


 土方さんの怒声が響いた。




 それから総司を介抱して、謝って。そうこうしているうちに朝ごはん。

 どうやら朝は別な人が当番になっていたらしい。昨晩同様、さびしぃ感じの朝ご飯だ。 


 隣に座った総司に、僕は自分の茶碗からご飯を分けた。


「詫び。それにそんなに僕は腹へってないし」


 そういうと、総司はへにゃりと笑って、


「気を使わなくていいのに」


 と言いつつも、うれしそうに食べていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ