表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
179/639

第17章  ミッションインポッシブル?(3)

 のんびりと数日過ごした後で、早馬が京から飛び込んできた。土方さんからの手紙を見て、近藤さんが顔色を変えて、考え込む。


「どうしたのかな」


 こそこそと彩乃が僕に訊くけど、僕も思い当たる節がない。


「なんだろうね。わかんないな」


 それっきり二人で黙り込んで、近藤さんの顔を見ていたら、近藤さんの視線が上がって僕の視線と合った。


 あ、嫌な予感。


「宮月くん。お願いが」


 思わず僕は片手をあげて遮っていた。


「嫌です。近藤さんのお願いは聞きません」


「いや、そう言わず」


「土方さんに入れ知恵したのだって近藤さんでしょ」


「いやいや」


 そういうけど、絶対、あの土方さんの「お願い」は、近藤さんの入れ知恵だと思う。


「じゃあ、独り言で」


「嫌です。聞きません」


 思わず僕は耳を塞ごうとしたけど、近藤さんのほうが早かった。


「新撰組の存続に関わる話だ」


「え?」


 思わず耳を塞ぐのも忘れて、彩乃と二人で聞き返す。


「松平容保公が京都守護職を罷免されたよ」


「は?」


 京都守護職っていうのは、新撰組を配下として動かしている役職名だ。松平容保公は会津藩の当主で、その人が京都守護職から下ろされたってことは、新撰組は会津藩預かりじゃなくなるってことで…。


「どうなるんです?」


「後任は前越前藩主松平春嶽(しゅんがく)公だそうだ。容保公は陸軍総裁職となられる」


「新撰組は越前藩が面倒見るということですか」


「どうだろうね。だけど我々には容保公にご恩がある。できれば今後も容保公の配下のものとして動きたい」


「はぁ。まあ、そうですねぇ」


「そこで、だ。我々が引き続き容保公の配下で動けるようにしてもらえないかな」


 はい?


「君なら、なんか考えがあるだろう?」


「いやいや。マジで無理ですよ。なんで僕にそんなことできると思うんですか」


 近藤さんが、じっと僕を見る。


「無理かな」


「常識的に考えて、無理でしょ。僕、一隊士ですよ?」


「宮月くん。どんな手を使ってもいいよ」


「いや、無理」


 近藤さんから視線を外して、思わず天井を眺める。


「そこをなんとか」


 なんで一隊士が、そんなことできるって思うわけ? 無茶振りもいいところだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ