表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
177/639

第17章  ミッションインポッシブル?(1)

 大阪に行って警護して、そして将軍様が京に来る道中を警護しながら京に戻ってきたのは、睦月も半ばになってからだった。



 そして如月に入ってすぐ、僕は近藤さんに呼び出された。


「宮月くん。一緒に温泉に行ってくれないかな」


「は?」


 近藤さんの隣で土方さんが渋い顔をしている。


「えっと、僕が近藤さんと行くんですか?」


「私はそう言ったんだけど、違うように聞こえたかい?」


 いや、そうじゃなくて。


「あ、僕、そういう趣味、無いんで…」


「私も無いよ」


 えっと…。なんで、僕が温泉? いや、温泉は好きだし、嬉しいけど…。


「警護に決まってるだろうが。何、寝ぼけたこと言ってやがる」


 土方さんが渋い顔のまま言った。


「警護?」


「かっちゃん…局長の警護だよ」


 あ、そういうこと。


「僕、一人ですか?」


 そう言ったとたんに近藤さんが笑う。


「本当はいらないっていったんだけどね。警護なんて」


「いらねぇわけねぇだろ。新撰組の局長なんだから」


 まあ、新撰組の偽者が出るぐらいには、名前が知られてきているしね。


「なんで温泉なんです?」


 そう聞いたとたんに、近藤さんと土方さんにスイッチが入った。


 二人して、しゃべる、しゃべる。


 とりあえずまとめると、黒谷の会津藩本陣に近藤さんが行って、会津藩主、松平容保(かたもり)公にお会いしたらしい。黒谷の本陣っていうのは、御所から二キロぐらい北東にある金戒光明寺のことで、ここに会津藩が軍隊を駐留させているんだよ。

 

 その松平容保公が、日ごろの新撰組の活躍を労ってくださって、近藤さんに温泉にでも行けと気遣いをしてくださったと。非常に有り難い話だと。それで温泉に行こうと思うと。そういう話だった。


「それで、なんで僕なんです? もっと腕の立つ人がいるでしょ」


「隊士が今、足らねぇんだよ」


 土方さんが不貞腐れたように言う。


 病だ、怪我だ、と、実は結構、稼動できる人が少なくなってるのは確かで。


「幹部を出すっていうから、私が断ったんだよ」


 近藤さんがにっこり笑いながら言う。


「すったもんだの挙句に、非常に不本意ながら、てめぇになった」


 土方さんが、まだ不本意だっていうのを前面に押し出してくる。

 

 温泉はありがたいけど、面倒だな~。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ