第2章 成り行き任せのその日暮らし(2)
実際、僕が実戦で使えるのはレイピアとダガーとシャベル。つまり突きがメインの片手剣と、短剣と鈍器だ。シャベルってさ、土を掘るだけと思ってるでしょ。戦場では鈍器になっちゃうんだよ。
あとは体術。気が向くままにいろんな体術を習ってみたからね。かじってばかりだから、どれ一つとして極めるところまで行ってないけど。
しかし…剣術の試合で蹴りを出したら…怒られるよね。実戦だったら結構有効なんだけどな。蹴り。
あ、銃器も得意だよ。得意っていうか、得意にならざるを得なかったというか。現代日本じゃ必要ないから、旧式しか使ったことないけどね。
「はい」って総司から防具渡されても…つけ方しらないし。
「いいです。無しで」
そういった瞬間、ちょっとざわめいた。
「いい度胸だな」
土方さんの言葉に苦笑いする。竹刀にせよ、木刀にせよ、当たる気ないし。
渡された竹刀に、とりあえず両手で構える。一応ね。構えるぐらいはできる。
「私が…」
「俺がやる」
総司が言いかけたところを遮って、斉藤一が出てきた。こわ~。めちゃくちゃ睨んでるよ。
「両者、始め」
土方さんの声がして、場がしーんと静まり返った。
ピクリとも動かない。昨日の彩乃の気持ちが分かる。どうするかな~これ。きっと僕からは殺気も闘気も感じられないだろう。気合もないに違いない。
相手からはビンビン感じるけどね。そのまま合気道で習った剣術形で仕掛けたら、瞬殺されそう。さすがは後の新撰組幹部。気合が違うわ。素人だったら、これでかなり腰が引けるだろうね。
でも、僕は素人じゃないんだよね~。
「あの~」
「なんだ」
目の前の斉藤一じゃなくて、土方さんが答えてくれた。
「足狙いはありですか」
そう聞いたとたんに、まわりががっくりと肩を落とすのが分かる。
「好きなところを狙えばいい」
この返事は斉藤一。クールだね~。
「んじゃあ、ありということで」
正眼の構えを解いて、竹刀を片手に預けると、そのまんま横一文字の形になぎ払う。まあ、これは簡単に捌かれるのは分かっているんだけどね。そして切っ先がそれた瞬間に、斉藤一が打ってくるけれど、そこを僕は半身で裁いて身を沈めると、足を狙った。
つまりフェンシングの要領だ。
これには彼もびっくりしたらしいけど、さすがにそのままは打たせてくれなかった。すかさず身体に沿わせるように竹刀を持ってきて、僕の竹刀から身体を守った。これは僕の読みどおり。その隙に僕は体勢を戻して、片手で面を打ち込む。
ぱしーん
ちょっと軽めの音だけど、その場に響いた。
本当は突くところを面に持っていったから、軽くなっちゃったんだよね~。




