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第11章  冬といえば(2)

「腕の力じゃない。手のてのうちだ」


 手のひらの使い方のことを手の内という。刀を使う上で大事なのは、腕力じゃなくて手の内なんだって。


 斉藤はそう言うんだけど、分かっていても身体が覚えてくれるまでは難しいんだよね。


「刀に手をかけるときには、そんなに力を入れるな。抜く瞬間に力を入れろ」


 あ~。う~。


 最初から握りこんでしまうと、ガチガチになってるから、刀を飛ばす余裕ができないんだよ。分かってるんだけどなぁ。『刀を抜く』って思った瞬間に、手のひらに力が入っちゃうんだよね。


 結局、僕はその日、握りこむ瞬間の練習をずっとやっていた。


 一方の斉藤はと言えば、最初に思ったとおり、覚えがいい。僕が教えたことはどんどん出来てしまう。何、この差。



 稽古が終わると、次はお昼ご飯。その合間に僕はちょこちょこっと洗濯をする。


 大分、下着の数とか増えたし、着物の数も増えたけど、乾燥機とかないから、洗濯できるときにしておかないとね。ちなみに下着はふんどしだ。仕方ない。けど、慣れるとそんなに違和感ないかな。特に和装だしね。


彩乃のことは内緒にしておいてあげよう。まあ、自分で作ってたよってことで、察してよ。


 それから午後の巡察だ。


 小競り合いは日常茶飯事。その上、あちこちで戦いが起こったといううわさを聞く。うわさの中のいくつか本物が入っているらしいけど、とにかくテレビもラジオもないから、なんだか信憑性が薄いというか、どこまで本当かよく分からない。


 まあ、そんな感じで京の街はそこそこ物騒だ。そんな中で巡察していく。


 そして最近の僕は、本当に何でも屋みたいになっていて、総司の隊にいたかと思うと、平助の隊にいたりする、なんだかよく分からない。基本は総司の隊なんだけどさ。


 助っ人依頼が多すぎ。寒くなってきたら風邪ひく人が多いんだろうけど。


 夕方になって、解放される。いや、もう一回巡察に行くこともあるけどさ。巡察がないときには、山南さんがいれば、山南さんのところに行って、文字を教えてもらう。


 うーん、なんとな~く読めるようになってきたかな。

 いや、本当に、大変なんだって。この文字が。


 山南さんは僕に文字を教えるっていうんで、張り切って「庭訓往来」なる本を出してきたんだよ。割と一般的な教科書らしいんだけどさ。酷いよ。これ。


手紙が一杯入っている毛筆の本なんだけど、かすかにカタナカが読めるくらいで、もうちんぷんかんぷん。


 十二ヶ月の手紙のやり取りが書かれているんだけど、いや~、理解するのが大変で。時期はずれなお正月から始めたんだけどね。今もまだお正月。年内にはお正月部分が終わりそうにないから、いい感じで、間に合いそうだよ。実際のお正月に(涙)


 それで夕飯を食べて、なんとなく暗くなったら、寝る時間。僕と彩乃はもう一回お出かけするけど。 


 でも夏の間ほど人が出歩かなくなったせいで、なかなか献血者が現れなくなりつつある。しかも待ってるこっちも寒い。うーん。なんか考えないとな~。あまり人に見られなくて…でも献血してもらえる方法。


 本当は「食事」という意味では、そんなに頻繁に飲む必要はないんだけど。いきなりの流血沙汰で、飢餓状態にならないようにするためには、小まめに飲んでおくに越したことは無い。


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