表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

わたくしの話をまず聞いてくださる?

わたくしの名はダージニア・ティエル・ヌワリエ。

ヌワリエ公爵家の長女として生まれました。

わたくしは普通よりも多い魔力を持って生まれました。

ですが産まれたての赤子に魔力など制御出来ません。制御出来ない魔力は辺りを傷付けるだけです。



魔力で辺りを傷付けないよう結界を張りその部屋で生活する、そんな生活を物心ついた頃には送っていました。

魔法協会から派遣された監護官の方がいなければ外を歩くことも出来ませんでした。

気軽に家族と会うことすら、出来ませんでした。

監護官がいないときは結界の境目である部屋の入り口でしか会うことは出来ませんでした。

そうでなくてはわたくしの魔力で傷付けてしまうのです。わたくしはこれ以上家族を傷付けたくなありませんでした。

魔力を抑える監護官がいなければ、誰も傷付けない為には一人で結界の中にいるしかありません。

そうして人と接しない為にわたくしは家族とどうしたらいいのかわかりませんでした。

人との付き合い方というのは、誰かと接することで養うことが出来るのです。


どうしたらいいのかわからないわたくしに、わたくしにどうしたらいいのかわからない家族とその周囲。


それでもわたくしが屋敷で、例えなかなか会えなくても、家族と生活出来ることはとても幸せなことなのだと、監護官の方が仰いました。

同じように魔力の多い方からの言葉はわたくしにとって重みのあるものでした。

それにその時のわたくしにとって人と接するというのは監護官と会うことと同義でしたから。


どうしたらいいか相談したわたくしに助言をくれたのも監護官の方です。

おかげで家族とも良好な関係を築くことが出来ました。

父は未だ制御は出来ていないわたくしの為に屋敷中に強固な結界を張ってくれました。

おかげでわたくしは屋敷の中ならば歩けるようになりました。

屋敷の中だけがわたくしの世界でした。





わたくしが学園に入学するときも大変でしたの。

わたくしが未だ魔力制御を出来ていない為です。

学園には魔力制御の出来ぬ者の為の規則はありますが、それを守らない者のなんと多いことでしょうか。

貴族の権力を使い(わがままで)規則を曲げる者がなんと多いことでしょう。

わたくしの入学に学園側が難色を示すのもさもありなんと言ったところです。

公爵家の、貴族の娘が、すんなり規則を守るとは思わなかったのです。

学園では魔力の暴走による事故(・・)が多発していましたから面倒事は抱えたくなかったのでしょう。


ですがわたくしはその規則を、わたくしの魔力から周りを守る対策を、求めました。


むしろ公爵家のわたくしが実行すれば他の者たちに示しがつきます。

公爵令嬢が守っていることをそれより下の者が破るなど出来ないでしょう?


学園側も賛同してくれましたのでわたくしの入学は許可されたのですよ。

だからわたくしはこうして魔力封印の呪具に、万一の監護官もついているでしょう?

人より多い魔力ですので呪具は手足と首に、通常一人の監護官も三人ですが。

授業で必要な時以外は一切の魔力を使うことはありません。いえ、使えないの間違いですね。

呪具を外すことが出来るのは監護官の方のみですもの。


さて、わたくしの話を聞いてどうでした?

わたくしがそこにいるご令嬢に、魔法で何か嫌がらせをしたとまだ仰いますの?

そもそもわたくしの行動は全て監護官の方によって監視されているのですけれど。

魔法協会がどの国でも独立した中立の存在であることはご存知でしょう。


取り巻きだとか、買収しただとか、それは魔法協会に対する侮辱ですわよ。わたくしに対しても。

あぁ、ここでの会話も記録していますから後で正式に抗議させていただきますね。


それより何故わたくしが彼女に嫌がらせをしなければなりませんの?

はい?「婚約者をとられて嫉妬」?

わたくしいつ婚約者が出来ましたの?

確かにそちらにいらっしゃる殿下や公爵令息の方々の婚約者候補としてわたくしの名前が挙がっておりますけど、わたくし婚約した覚えはありませんわ。

あくまで候補でしかありませんわ。


婚約者候補の方々が彼女を囲んでいるのは知っていますよ。有名ではないですか。

周りの皆様はわたくしに気を使っていましたけど、あれだけ堂々とこれみよがしに親しくしているのに気づかない訳ないでしょう。

まぁわたくしはなんとも思いませんけれど。お好きにしたらよろしいのではなくて?


何故そんな顔をしているのです?

まさかわたくしが貴方方を好いているとでも思っていたのですか?

それは…ものすごく自惚れが強いですのね。

学園に来るまで一度も会ったことのない相手を何故好きになるのですか?

学園で会ってからも挨拶のみでそれ以上の接触すらしていませんのに、自分が好かれていると思いましたの?残念な方々でしたのね。


わたくしは魔力封印の呪具を付けていることも、婚約していないことも隠してはいませんでしたのに。

少し調べれば、知ろうと思えば知れたことですわ。

それすらせずに彼女の勝手な言い分だけを信じ、こんなに生徒の集う衆人環視の中で、わたくしを謂れのない罪で貶めましたのね?

この責任はどうとっていただけるのかしら?


それと先ほどからよくわからないことを仰られている貴女。

こうして話すのは初めてですわね。

何故こうもわたくしを憎まれているのかは知りませんけれど、魔法を使ったのは失敗でしたわ。

貴女、わたくしのせいにする為に自分で自分に魔法をお使いになられたのでしょう?


けれど学園内では誰が、いつ、どこで魔法を使ったのかわかるようになっているのをご存知ないのね。

貴女が仰っていた時間、場所で誰が魔法を使っていたのかも記録されていますのよ。


あら、どうなさったの?

震えていらっしゃる。それに顔色も何だか悪いみたいですわ。

今日はもうお開きにしましょうか。

後日公爵家から正式な使者を送りますわ。

これだけのことをしたのですもの、その責任をとる覚悟はお有りなのでしょう?


それでは皆様御機嫌よう。

監護官:魔力制御が出来ていない者の魔力から辺りを守る。魔力を防ぐ為には相手と同等、もしくはそれ以上の魔力の持ち主が必要。


魔力封印の呪具:魔力を使えなくする呪具。完全に魔力を封印するわけではない。付けていることは自分が未熟者だと示すため貴族などから敬遠される。


魔法協会:魔力過多の者を保護、またその魔力暴走の防止などを目的としている独立した組織。各国に支部がある。


主人公は悪役令嬢で、この世界は乙女ゲームという設定でした。

ゲームの悪役令嬢はどう接していいかわからない家族に甘やかされて育てられ、わがままで魔力制御が出来てないキャラ。魔力暴走の規則はもちろん拒否した。作中にある通り攻略対象の婚約者候補筆頭でそれゆえに彼らは自分のものだと思い込んで近寄るヒロインに嫌がらせをする。最後は衆人環視の中糾弾され感情のままに魔力を暴走させ捕まる。


主人公は家族のわだかまりが無くなったので真っ直ぐに育つ。入学するまで屋敷の外に出たことはなかった。幼い頃に魔力暴走で周りの人を傷付けたことはトラウマになっている為早く魔力制御を覚えたいと思っている。


ヒロインは嫌がらせをしてこない主人公に痺れを切らしての行動。そんなことしなければほとんど逆ハーになってたからいけただろうと思われるけど現実逆ハーは無理じゃね?最後に震えていたのはようやく公爵家になんてことをしたのだろうと理解したから、かな。転生者。


婚約者候補(攻略対象)達:皆見目麗しい、殿下・侯爵子息・騎士団長子息・宰相子息などなど。全員ちょっぴり残念な性格をお持ちである。


正直、婚約者でもないのに自分が好かれていると思ってるの?のとこが書きたくて書きました。自惚れ強ぇなと。

展開は微妙かもしれないけど一応は満足。



ここまで読んでくださりありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 主人公の身分が公爵に時々なってます。 [一言] こういう展開もありですね(*^^*) 面白かったです
[良い点] 二人称で相手(読者=ヒロイン)を追いつめていく形式が推理小説のようで小気味いいですね。
[一言] 小説以前のシノプシスと言った所でしょうか このごろ流行の「乙女ゲーと悪役令嬢」「ゲームヒロインは転生者」と言った設定をとりあえず使い、クライマックスの「悪役糾弾イベント」と「反撃」のシーンだ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ