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彼らの進むべき道-The way where they should progress-

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・5月24日午前0時46分付

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 5月2日、一連の偽者サウンドランナー事件に関しては首謀者のルナ及びグループ・ハンドレットのメンバーの逮捕、所属芸能事務所の家宅捜索等が行われたのだが、肝心の犯行理由に関して、ルナは黙秘を続ける。


 5月3日、この日は1日に行われたサウンドランナーのイベントに関しての真の目的がプロデューサーから発表された。


「4月上旬にグループ・ハンドレットがサウンドランナーを襲撃すると言う話をネット上の掲示板で書かれているのを数か所で目撃―という匿名のメールが届き、それを調べた結果は1日のイベントで起こった事が―」


 どうやら、グループ・ハンドレットが何らかのアクションを起こす事はサウンドランナー側でも把握しており、無暗に話を大きくしたくなかった為、服部半蔵に一連の偽サウンドランナーを含めて調べてもらっていたのである。


「それに加えて、技術部からの報告でフルフェイスの人物が使っていたサウンドランナーの装備に不正改造が施された跡があるという事実も同時に判明しました。我々としてはサウンドランナーが暴走族やその他の迷惑行為等に悪用されないように警戒をしてきましたが、このような事例が出た事は非常に残念だと思います。そして、このような事例が今後も起きないように、我々としては監視の目を緩めることなく―」


 強化型装甲アイドルの技術が使われていたとされている部分に関しては、日本政府等に配慮して発表は見送りとなったが、不正改造に関しては大々的に発表する事にした。


『自転車や自動車等でも不正改造は一種の社会問題となっている。サウンドランナーの不正改造は、それに比べると小さい物だが…』


『不正改造をすれば、逆に命さえもなくなるという話を何処かで聞いた事がある。ブーツの加速アップに関しては、足の負荷が恐ろしい事になるとか…』


『不正改造されたサウンドランナーが、もしも陸上の世界選手権等で使われたら、それこそ一大事になるだろう―』


『下手をすれば、別の技術と融合させて最強の軍隊を作る事も可能だろう。だからこその不正改造は免許資格の永久抹消と言う最も厳しいルールをサウンドランナーでは取り入れたのだろう―』


 サウンドランナーのライセンスマニュアルでも、以下の一文が冒頭に書かれている。


―サウンドランナーという技術は、日本が生み出した技術でも最も未知数の技術である―



 未知数の技術であるからこそ、正しい知識を持って使用する事で社会の為に役立つ技術にもなる。しかし、不正改造などをする事によって、その技術は地球をも征服する事を可能にする事も―という風に触れられている。


『あれだけの技術を上手く使いこなせるようになるためには、まだまだ技術と言う物が足りないだろう。不正改造によって命を落とすなんて事があれば、サウンドランナーその物が存続の危機にもなる―』


『その為にも、強化型装甲アイドルやその他で進行しているプロジェクトと手を組んで進化させていく事が大事なのかもしれない―』


 プロデューサーは、ここまで実際は危険かもしれないサウンドランナーを何故始めようと思ったのだろうか。飛翔がハイパーグローブとブーツを作って報告した動画を見た事で『面白そうだ』と鶴の一声で実行したとは到底思えない。それは、強化型装甲アイドルという未知の計画が技術部を更に発展させるとプロデューサーが判断して計画したかもしれないし、メモリーランナーと言うゲームの動画がワックワック動画で流行し始めた事をきっかけに『実際にやってみよう』と興味本位で始めたのか…それはプロデューサー自身も話そうとはしない。


「時が来るまでは、この話は封印した方がよいのかと思った事があった」


 プロデューサーは後に、こう語っていた。


 5月下旬、3月から受け付け開始となったホーリーフォースの強化型装甲デザイン募集の発表がホームページ上で行われていた。


 4月末には募集が締め切られ、集まったデザイン案は1000通を超えていた。その応募作品の中から数作品が採用され、ナンバー2以降の強化型装甲の素案となるベースデザインが決定したのである。


「なるほど。強化型装甲アイドルは戦闘特化型と言うか…その路線で行くという事か」


 プロデューサーがホーリーフォースの公式ホームページで入賞作品のデザインをチェックしていた。デザイン的には、サウンドランナーがアクション重視の軽装型アーマーデザインに対して、強化型装甲アイドルはバトル重視の重装甲や武器類が目立つデザインになっている。中には、レールガンやビームライフル等と言ったような物や可変ロボットを思わせるような物まで―サウンドランナーとは良い意味で差別化されたイメージになっているのがプロデューサーの目から見ても明らかだった。


「そう言えば、あの時に審査員をやっていた熊の着ぐるみの正体は誰だったのか―」


 審査会場にはホーリーフォース関係者としてミカドも来ていたが、途中から飛翔の代役として審査員を担当した熊の着ぐるみの人物も関係者であることは間違いなかった。


「瀬川とも関係があるように見えるが…本人に直接聞くべきか悩む所だ」


 瀬川に強化型装甲を披露しても良いという許可を出したのはミカドではなく、熊の着ぐるみの方だった事から、ミカドよりも上の地位に位置する人物、あるいは瀬川と深い関係のある人物であると推測出来るのだが…。


「そう言えば、パンダの方は―」


 ミカドもパンダの着ぐるみに関して気にはしていたが、喋っていた事もあって気にも留めていなかった。


「あれは、本郷カズヤ本人らしい…と面接終了後にメールをもらった」


 誰からのメールかは明らかにはしなかったが、パンダの着ぐるみが本郷カズヤ本人であるとミカドに教えた。



 6月、日本政府が音楽管理ネットワークを含んだ新システムに不具合があった事をようやく認め、ある一定の条件を満たした芸能事務所以外にはセキュリティキーを発行しない事を発表した。グループ・ハンドレットの芸能事務所は、一連の事件に関しての責任を取る形で解散となった。事務所に家宅捜索が入った際にルナのノートパソコンも押収され、そこからセキュリティキーが持ちだされた事が発覚した為である。


『やっぱり、グループ・ハンドレットの楽曲は途中から盗作だったのか』


『どうして盗作なんか始めてしまったのだろう―彼女はグループ50では盗作とかやるような人間ではなかった』


『人間は、やっぱり欲が絡むと変わってしまうと言う事だろう』


『グループ・ハンドレットとは関係ないが、ワックワック動画のプロデューサーが政府の要望書に関して拒否の態度を示した事で謹慎処分を受けたとか』


『政府も超有名アイドルの税収だけは維持したいと言う流れで、謹慎にしたのか―』


 グループ・ハンドレットの一件で、事件にかかわった議員等の処分が誰にも知られる事無く行われたというニュースが新聞の一面を飾ったが、超有名アイドル政策を支持する議員が選挙に当選という話も同時に話題となった。


『それよりも驚いたのは、あのレッドドラゴンがサウンドランナーを止めて、国会議員になったらしいな。しかも、20万票を集めて初当選とか―』


 5月の中旬、選挙戦に出る事を理由にレッドドラゴンはサウンドランナーを引退した。


『寂しくなるな―』


『彼のインパクトは凄かったな』


『政治家になっても頑張ってほしい』


 レッドドラゴンが国会議員になった事はネット上だけではなく、様々な週刊誌等でも取り上げられることになった。主に、彼が掲げた超有名アイドル商法の全面見直しという部分が大半で、サウンドランナーとしての記録は経歴の一部に掲載されるのみにとどまっている。


 7月、ホーリーフォースのナンバー9が芸能活動に専念する事を理由にホーリーフォースを卒業する事になった。その時にプロデューサーはホーリーフォースのスタッフ募集を受けに秋葉原の事務所へ向かったのだが…。


「今のお前はワックワック動画のプロデューサーなのは間違いのない事実だ。確かに過去のスタッフ募集を受けていたお前をスカウトする事も不可能ではないが…」


 事務所内にいたミカドは、プロデューサーがホーリーフォース入りする事に難色を示していた。現状のワックワック動画から彼が抜けてしまったら、後任はどうなるのか…と。


「今のお前だったら、こちらで働かなくてもワックワック動画で上手くやっていく事は可能だ。自信を持て!」


 ミカドに激励される形で、プロデューサーは秋葉原の事務所を後にする。


 秋葉原の駅前、何処かで見た事のあるような熊の着ぐるみを見つけた。何やらチラシのような物を配っている。


「音楽業界を改めて考えるサミット―か」


 どうやら、近くのセンタービルを借りてのイベントを宣伝のようだ。プロデューサーは興味がありつつも、今は謹慎状態になっている為に身動きも出来ない。


「どなたかと思ったら、プロデューサーさんじゃないですか?」


 着ぐるみの首を取って顔を見せたのは、女性だった。それも、インカムが特徴的な女性である。


「サウンドランナー計画、また続けてくださいね。応援していますので―」


 彼女もプロデューサーを励ましていた。プロデューサーは彼女の名前をあえて聞かずに駅の切符売場へと向かった。


「あなたのサウンドランナーは……私達が引き継ぎます」


 彼女がリボルバーと言う人物だと改めて知ったのは、彼女がテレビで宣戦布告をした時だったが―それは、まだ未来の話である。


 サウンドランナーと言う企画自体は周囲から見ればとんでもない企画だったが、彼がサウンドランナーを始めた事は、少なくても強化型装甲アイドルや他のプロジェクトの技術革新に貢献したという話は、後にプロデューサーがワックワック動画に復帰してから認められる事になる。


 8月、CDチャートに変化が起きた。ネット上ではトップ10の楽曲名を見ても全く分からないアーティストが出ている―と話題になっていたのである。


『まさか、音楽ゲームの楽曲が上位独占とは予想外だな』


『それ以上に同人シューティングゲームのアルバムもデイリー1位になったのか。売上的には10万枚には届いていないと思うが、他のアーティストが売り上げをダウンさせている状況では無理な話か―』


『この状況が元に戻るのには、どれ位時間がかかるのだろうか?』


『グループ・ハンドレットが事務所解散に加え、CDが全て絶版―それでもおさまらないのが現状だろう』


『その他の芸能事務所もグループ・ハンドレット事件を受けて謝罪会見ばかりだからな―』


『これで簡単に立ち直る…とは考えにくいだろう。謝罪会見と言っても、建前だけという展開もあり得る』


『超有名アイドル復権の為の試金石―という流れにはなって欲しくないが。一連の謝罪会見ラッシュが2度もあると、芸能界も音楽業界も確実に終わるだろう』


 ネット上の賛否両論は相変わらずとなっている。そんな流れが変化するのは、10月になってからだった。


 10月、ホーリーフォースのメンバーを現在活動中の12人に制限して予算を抑えるような水面下の動き、CDヒットチャートでも超有名アイドルや著名アーティストの曲がランキングに戻り始める等の大きな流れがあった。そんな中、プロデューサーの復帰と共にサウンドランナーも人気を取り戻し、新コース追加や定期的なメンバー募集、企画レース等…今まで以上のイベントを取り入れ、ワックワック動画のメインコンテンツの一つまで成長をしていた。


「今回は、あのサウンドランナーの皆さんにゲストに来てもらっています―」


 司会の女性がまどかと飛翔を紹介する。2人はいつものランナースーツに着替えた状態で出演し、瀬川は背広姿での登場となった。


「やっぱり、瀬川さんはホーリーフォースの方も忙しいから―」


 飛翔が普段着で登場した瀬川に若干の皮肉を加えたジョークを放つ。


「私に勝ったら、この覆面を外してもいい」


 予告なく、本社ビルに突如として現れたのは、何とサスケだったのである。相手は誰でも良いので、一人でも自分より早くコースを1周出来れば覆面を外して正体を明らかにする…と。


『考えてみれば、半蔵はルシファーだと言うのは判明したがサスケは未だに―』


『地下格闘技出身というのはプロフィールでも分かるが、本名不明か―気になるな』


『今のランクだと、まどかと飛翔位じゃないのか。瀬川はホーリーフォース優先で不在が多いし―』


 サスケの正体には興味があるが、今の彼に勝てるようなランナーがいるのか…と言う点があった。飛翔かまどか以外には考えられない…と。


「本当はサプライズゲストのつもりだったのですが…予定通りに進みませんね」


 司会の女性も若干だが頭を抱えているような様子である。司会の紹介があってからの登場をお願いしていたはずなのに―。


 コースは草加駅をスタート地点、ゴールはワックワック動画の本社ビルとしてトラック1周と言う特殊コースである。本社ビルは駅から徒歩10分ほどという距離は短距離に近い感じがする。


「たまには短距離も…面白いかもしれませんね―」


「短距離は想定外だけど、今後のイベント等で使えるかもしれない」


 まどかと飛翔はやる気だったが、瀬川は少し悩んでいた。


「久々に、走ってみる――」


 その言葉に続いて、瀬川は背広を裏返してホーリーフォースの強化型装甲を呼び出す。


「今の彼女達を見ていると、超有名アイドルのような名声だけを得ようと考えているアイドルよりも、彼女達の方が輝いて見えると思います」


 4名が一斉にスタートした一方で、その様子を見ていたのは議員となったドラゴンの覆面だった。彼のコメントは、今の超有名アイドル戦国時代の裏で、輝くアイドルは身近にいると言う事を語る……と言う気配だった。


「アイドル戦国時代か…その言い方は正しいのか間違っているのかは分からない。一つだけ言える事は、こういう時代にこそ輝く事の出来るアイドルもいる…と言う事だろう」


 現在はサウンドランナー育成に全力を注ぐ一方で、コース監修等を担当するのは服部半蔵ことルシファーである。彼もサウンドランナーはアイドル戦国時代の中でも生き残れるパワーを持っていると確信していた。


 しばらくして、ゴール地点に現れたのは飛翔だった。その後にサスケ、瀬川、まどかの順番でゴールをする。


「さすが、蒼騎飛翔という所か――」


 サスケが約束通りに覆面を外すと、そこから現れた顔は実技試験に参加していた女性だったのである。


七那虹色(しちな・れいん)、いつかホーリーフォースという舞台に立つ予定のアイドル見習いだぞ!」


 サスケの正体は、地下格闘技でも有名人だった七那虹色だった。彼女はホーリーフォースにもエントリーしようと考えているらしいが、このような宣言を生放送中にしても良かったのだろうか…と。


 2010年1月、サウンドランナー人気を二分化するホーリーフォースが12人での活動をスタートさせた。その中には、PR大使としてラクシュミのメンバーが姿を見せた。


「これが、アイドル戦国時代の新たな夜明けになるのだろうか」


 このニュースを見たプロデューサーは、人気の二分化は確実に起こると宣言した上で彼はこう続けた。


「アイドル戦国時代は、これからも続くし超有名アイドルも生まれ続けるだろう。テンプレグループかどうかは別としても―」


 彼の言葉は、届くのだろうか……?


 その頃、とあるビルでは議員らしい人物が虎の覆面をした人物とテレビ電話を通じて会話をしていた。


『例の計画はどうなっている?』


 虎の覆面に計画の進行状況を聞かれ、議員は順調であると答える。


『アイドルランナーは当初の予想とは違う道を選んだ…という事か。しかし、超有名アイドルが神であると思うファンを動かすまでには至らなかった部分―それに関しては、こちらの計画通りといった所か』


 虎の覆面は、全てが自分達の立てた計画の想定の範囲内である…と確信していた。

虎の覆面の正体は何者なのか? 彼らが考えている計画とは?


新たなステージは、イメージオブアイドルヒーローへ…。



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