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僕たち――エルフ戦士3人と僕は、
草むらに身を潜めながら敵の仮拠点を見ていた。
森の奥の開けた場所。そこには粗末なテントと焚き火。
そして――想像より遥かに多い人影。
エルフ戦士が息を呑む。
「今、数えたが少なくとも50はいるぞ……」
「10人でどうにかなる相手じゃないな……」
彼らの声には焦りが混じっていた。
(うわ、ガチで多いじゃん……
まぁ、ただの村人だから一人一人は雑魚なんだけどね)
そんなことを思っていると、
拠点の中心にひときわ目立つ男がいた。
金ぴかの胸当て、無駄に光るマント。
貧乏村のくせに、どこで手に入れたのか分からない派手装備。
(ああ……あの顔面がむかつくボンボンがキラチンか)
エルフ戦士が小さく呟く。
「……あれが、あの村の村長の息子……?」
「装備だけは一流のようだな……中身が伴っているとは思えんが」
(うん、こいつは間違いなく中身スカスカだろうな)
さらに、その隣に立つ妙な男がいた。
背は低い。
体型はひょろ長くて、顔は妙に長い。
そして丸メガネ。
何より、やたら自信満々に胸を張っていた。
エルフ戦士の顔色が変わる。
「あれは……グラン・ザバル……!?」
別の戦士が驚愕する。
「“天才軍師” と呼ばれたあの男が、なぜこんな山奥に……?」
(へー、天才軍師か……
見た目が完全に“僕ちん・天才アピール系”なんだけど)
実際、ザバルはその通りだった。
胸を張りながらキラチンに向かって説教していた。
「僕ちんの作戦は完璧なんだから、黙って従っていれば勝てるの。
理解できた? キラチン君」
(……うわ、本当に “僕ちん” って言ったよ……
これ絶対、自分に絶対の自信を持ち、死の覚悟とか微塵もしたことないタイプの奴だ。どっかのエルフ村の娘と同じじゃねーかよ。)
キラチンも調子に乗って笑っている。
「ザバルがいれば余裕だよなァ!!エルフなんざ一網打尽だァ!!」
エルフ戦士の表情が険しくなる。
「戦士は10人……相手は50人……
指揮官があれだけ有能なら……」
「正面から戦えば押し切られる……!」
そう、戦力だけで見ればエルフ側完敗。
でも――僕は肩をすくめた。
「いや、別に。村人は雑魚だし。
統率してる奴さえぶち殺せば終わりでしょ」
エルフ戦士たちがぎょっと僕を見る。
「お前……アイツ、最強の軍師なんだろ? それで本当に殺せるのか?」
「まぁ、戦闘力自体は無さそうだしね。」
戦士たちが目を合わせ、静かに頷いた。
その瞬間、ザバルが大声を上げた。
「僕ちんの作戦を開始するよォ!!
エルフどもはもう詰んでるの!」
(まぁ、とりあえず不意打ちすれば勝てるだろ)
僕は木の上に登りながら、
すでに自分だけ別作戦を練っていた。




