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2-2 (リュミエール視点)

帝国で学園の卒業パーティの後、

正式に皇城で、皇太子の婚約者お披露目パーティが開かれ、

隣国の王太子として出席してきた。


皇太子は自国の貴族の選民意識にずっと悩まされていた、

民を思いやり、生活を助ける所か、

自分達の下僕にしか思っていない、


どんなに生活が疲弊しようと、病魔に侵されようと、

税さえ納めさせれば、何の問題もないと言う有様だった。


そんな時出会ったのが、エリーゼと言う女性、

平民でありながら、優秀で、民を思いやる気持ちも持っている、

貴族の間を渡り歩くのは苦労も多かったと思うが、

それも前向きに、その頭脳で対処している。


そんな彼女に皇太子が惚れるのは当然だったのだろう、

彼女には言っていないようだが、

貴族の子女ばかりだった城の侍女も、

優秀な平民を雇うよう改革したり、

彼女を迎える準備を水面下で行っていた。


自分の考え、気持ちを理解し、支え、

それだけで力になる女性。


「羨ましいな」


馬車の中でぽつんと呟く。


表情がめったに変わらない皇太子だが、

エリーゼと一緒にいて、満たされているのが、

手に取るように分かった。


自分もルナルール国の王太子と言う身分、

皇太子のような素敵な女性に巡り合えればと思うが、

基本政略結婚では、難しい事も分かっていた。


ルナルール国の王太子は、聖女と結婚する事が決まっている。

聖女とは、回復魔法の使い手でありながら、

若くて美しい女性の尊称である。


聖女になると、王妃はもちろん、貴族との結婚が約束

されるので、海外からも聖女を目指し、ルナルール国へ

やってくる女性もいるほどだ。


多くはないとはいえ、何人かいる聖女、

その中から、自分に合った女性を選んでいい事になっている。


しかし、大教会で聖女に面会する機会はあったが、

心が動く女性に会った事がなかった。


王太子としての義務で会っていると言う感覚から抜け出せず、

心がときめく事がなかったのだ。


「女性は可愛いとはおもうんだけどな」


決して女性が嫌いな訳ではない、

自分に好かれようとしている姿は、決して悪くはない、

しかし・・・


「何か違うんだよな・・・・」


その何かが、何かは分からない。

ただ、隣国の皇太子のような、熱い思いを羨ましいと思う。


そんな事を考えていた時だった、馬車が急に止まる。


どうしたのだろう?


気にはなるが、近衛騎士が報告に来るのを待つ。


しばらくして、戸がノックされる。


「どうした?」


「女性が倒れているようです」


「女性が?」


そんなに強くないとは言え、雨が降っている、

心配になり、自分も馬車を降りる。


馬車を降りたら、大きな木の下で眠っていたのか、

眠そうにしている女性の姿が目に入った。


うわっっっ!可愛い!!!


母親、聖女を含め、美人には見慣れているはずの私でも、

胸が高鳴る。


ついつい、凝視していると、近衛騎士が報告してきた。


「帝国からルナルール国へ向かってた所らしいです」


「そうか」


帝国からルナルール国へは定期的な馬車が通っている。

冒険者にしては、軽装備。


どうしてこんな所で1人で行き倒れているのかと、

疑問が沸き起こる。


あまりの自分好みの美人に、高位のモンスターが

幻想を見せているのかと警戒するぐらいだ。


高鳴る気持ちを抑え、女性に話しかける。


「私はリュカ、貴女は?」


「えっと?私は・・・セレーネと言います」


セレーネと名乗った女性はまだ眠そうだった、

それにまったく警戒していない。


平民は王族・貴族に話しかけられると、緊張したり、

口ごもったたりするが、それがまるでない。

不思議な女性だと感じた。

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