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魔獣のいるダンジョンの奥に行くまでは、4日かかる。
今回の目的は魔獣だけで、それ以外のモンスターに
手を取られる事は極力避けたい。
なので、冒険者ギルドのメンバーが中心となった、
先鋒体が、Dクラス、Cクラスのモンスターを
できるだけ排除し、聖水を惜しみなく撒いて進む。
そのおかげで、4日間のうち2日間は、
ほとんどモンスターに出会う事はなく、
怪我人もなく、200人程の王宮騎士達は、
歩みを進めていった。
私もてっきり歩くのだと思っていたら、
聖女4人と私の5人には、
専門の輿が用意され、それに乗っての移動となった。
男の人達に担がれるのに抵抗はあったが、
過去ずっとこうだったと言われ、従う事にした。
ちなみに、輿には強い防御魔法がかけられており、
輿の中にいる限り、身の安全は保障されている。
「辛くはないか」
「お気遣いありがとうございます、リュミエール様」
周りは皆、婚約者だと知っているが、
リュカ様の立場を考え、あえて他人行儀なやり取りをしている。
きりりとしたリュカ様は、普段の犬のような姿とは全然違う。
これが王太子としてのリュカ様かと、惚れ直してしまう。
自分にだけ向けられた、優しい笑顔や、
甘い顔も嬉しいが、部下達に慕われ、
意見を受け入れながら、適切な指示を出していくリュカ様は、
また違う魅力を感じる。
この姿を見れただけでも、参加して良かった。
そんな風に、リュカ様を見て入れたのも、
ここまでだった。
3日目、とうとうダンジョンの奥に入り、
強いモンスターと戦闘になる。
パワーグリスリー(熊型)やキラーレパード(豹型)を中心に、
獰猛だったり素早いモンスターが多く、
中には群れを作り、連携して攻撃してきたりと、
戦慣れている兵士でも苦戦を強いれられていた。
私も力の限り、回復魔法を使うが、
それでも死んでいく人もいた。
この世界で人が戦闘で死ぬのを見るのは、
始めてだったのでショックを受ける。
「セレーネはよくやってくれているよ」
リュカ様が慰めてくれるが、首を横に振る。
力が足りてない自分が悔しい。
聖女の1人リタさんは羨望の眼差しで見てくれる。
「普通、回復は30人が限度ですのに、
毒の池でダメージを受けたほとんどの人を回復
してしまわれるなんて、奇跡ですわ」
「それは、この杖の力よ」
暗に自分の実力ではないと言ったが、リタさんは続ける。
「3日目とは言え、亡くなったのは3人だけ、
いつもなら5・60人は死者が出ていた所なんです、
これは本当に凄い事なのですのよ」
「ありがとう」
暗い笑顔で何とか返す私に、リタさんは言葉を詰まらせた。
4日目、とうとう魔獣の住処についた、
これ以上は誰も死なせたくない!
弱っている場合ではない、私は回復魔法の使い手として、
この場にいるのだ、ならその最大限の仕事をするだけ。
とうとう魔獣をこの目にする。
冒険者ギルドでイラストは見ていたが、
魔獣はそれ以上に禍々しい姿をしていた。
まずは聖具『防御の指輪』を使う。
これだけで、相手の攻撃は30%軽減される。
『無効化のネックレス』も同時に発動させて、
魔獣が持つ防御シールドを無効化する。
しかし魔獣は、大きな体に似合わず、動きが早く、
火魔法で広範囲攻撃もしてくる。
多少弱体化させる事ができているとはいえ手ごわい相手だ。
もし、『防御の指輪』がなかったらと思うとぞっとする。
次々と運ばれてくる負傷者に、後方で回復魔法をかけながら考える。
落ち着くのよ、ここはゲームの世界、
ならば必ず攻略があるはず!
防御シールドを無効化しているにも関わらず、
魔獣にほどんど傷つけられていない、
魔獣の攻撃が早すぎて、
こちらから攻撃がほどんどできていないという事だ。
何か攻撃のパターンか弱点があるはず。
杖のおかげで、倍回復魔法使えるので、
私はまだ余力があるが、リタ達はもう力つきている。
『調合の書』を手に入れた事により、
回復薬が大量に生産させ、それらもこの戦いに投入されている。
回復魔法が使えなくなった聖女達は、
回復薬を飲ませに回っていて、
今は何とかそれで凌いでいるが、それも数に限界がある。
これ以上の消耗戦では、死人がまた出てしまう!




