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婚約破棄された悪役令嬢は隣国の王太子に拾われる ~5つの聖具編  作者: あいら


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8-1 ヒロイン訪問

リュカ様にプロポーズされた事が嬉しくて、

エリーゼに伝えたくて手紙を書く、


「えっと、リュカ様にプロポーズされました、

 今凄く幸せです、と」


相変わらず、文章を書くのは得意ではないので、

シンプルな文章だけだが、

その文章だけにも、喜びが溢れてくる。


もう恋愛なんて諦めていたのに・・・


前世では、学生の時ちょっと付き合っただけだったし、

今世では政略結婚、本当の恋をしてるのは、

今が初めてで、まだ少し信じられない。


「ふふふ・・・」


と怪しい声を出していると、コンコンと窓を叩く音がした。


もう慣れた物で、手紙の鳥だと分かっている。


窓を開けてあげると、バサバサっと一羽入ってきた。


あれ?一羽だけ?


ちょっとの文章しか書かない私と違い、

エリーゼは筆まめだ、

いつも数羽やってくるのに・・・


そう思って鳥から手紙の形になるのを見届け、

手紙を上げると、思いがけない事が書いてあった。


「これからそちらに行きます?」


思わず声に出して読んでしまった。


こんな短い文章は初めてだし、内容も内容だ。


すると、コンコンと戸を叩く音がして、

ドキッとする。


この世界には郵便局はもちろん宅配便もない、

めったな事で、扉が叩かれるなんて事はないのだが・・・


まさか、ね。


と思いながら、扉を開ける。


すると、そのまさか、エリーゼが廊下にいて、

あまりの驚きに、思わず飛び上がってしまう。


「え・・・えええ?エリーゼ?」


「手紙の通りよ、しばらく泊めて」


何となく重い雰囲気をまとっているエリーゼに、

それ以上何も言えず、部屋へと招き入れた。


エリーゼは簡易ベッドから掛布団、

枕まで準備万端で用意してきていて驚く。


しばらく、エリーゼが持ってきてくれた、

焼き菓子を食べながら、他愛のない話をする。


リリーナ伯爵夫人はエリーゼの味方になってくれて、

最近では貴族女性と渡りあえるようになってきたが、

親密とは言えないようだ、

いまだ、ロザリア(セレーネの元の名前)を慕っている人も多いのよ、

凄いわなんて言われて、どう言えばいいか迷う。


「エリーゼ淹れる紅茶は美味しいわ」


「そう?こだわってオリジナルブレンド作ったの、

 褒められて嬉しいわ」


「凄いじゃない」


「でも、侍女に皇太子妃のする事じゃないって

 言われちゃうのよね」


「そんなの気にする事ないわよ!」


私の言葉にエリーゼは本当に驚いたようだった。


「いい、マナーが完璧なのは当然、

 マナーがなっていないのは問題外よ。

 ただ、それ以上はあえてセオリーを崩すの!

 その自由さがオリジナリティで人を引き付けるのよ」


「そんなものなの?」


「そう、完璧だけだと息が詰まるわ」


エリーゼは私の言葉に考えているようだった。


「そう言えば、国によってお菓子って全然違うのよね」


「そう!それびっくりした!」


帝国では、お菓子と言えば、クッキー、マドレーヌだが、

ルナルール国では、マカロンとマシュマロ。


「それに、帝国では毎日パンを食べてたのに、

 この国では全然なくてびっくりしたわ」


「じゃ、主食は何を食べているの?」


「この国ではパスタね」


「同じ小麦なのにね・・・」


「まったくないんだもの、不思議ね」


「本当ね」


日本では、ご飯も、パンもパスタもあった、

それが、国を渡っただけで、がらりと食文化が変わる。


「本当にゲームの世界なのね」


「モンスターもいるものね」


「不思議」


「不思議ね」


ゲームの世界なのも、その世界に、リアルな人間として

生きているのも、よく考えれば不思議だ・・・


「それで、どうして家出したの?」


エリーゼが落ち着いたを見計らって聞いてみる。


「私、子どもができたの」


「え!おめでとう!というか、旅行して大丈夫なの?」


あわてて聞く。


「つわりはほとんどないし、医者も大丈夫だと言ってたから、

 それ以上に城にいる方が体に悪いって」


その言葉につばを飲み込む。


「何があったの」


いつも、自信満々で、実力でどんな困難も乗り越えた、

エリートの余裕の笑みが全くない状態に、

心の底から心配になる。


「私、相談できる人セレーネしかいないの」


「侍女達は?」


「優秀な部下って感じ、指示は出せても頼れないわ」


そんな中、私を頼ってくれた事を嬉しく思う。


「何があったの?」


優しく、重ねて聞いてみる。


エリーゼの手を取って、心の中で大丈夫と唱える。


「っ、あの男っ!子供ができたのに、そうかしか言わないのよ!」


その言葉に全てを悟る。


ああ、エリーゼの婚約者、皇太子はほぼ無表情。


本当は喜んで欲しかったのに、そっけなくされて、

傷ついてしまったのだろう。


たかが一言。されど一言。


慣れない環境で苦労し、頼りにしている男性にそっけなくされたら、

それは傷つくと思う。


これは、フォローが難しいわね。


皇太子が無表情で、感情を表に出さない性格なのは、

エリーゼの方が分かっているだろう。


相手の事を分かっていて、自分の我がままで、

でも自分の気持ちも分かって欲しくて、居場所をなくしたのだ。


「分かった、気が済むまでいて」


「セレーネ!」


ずっとここにいられない事は、エリーゼも分かっているだろう、

それに、そう遠くない日、迎えが来るはず。


元婚約者の考えや行動がある程度読める事を、

今は嬉しく思った。

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