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断罪まで後1日となった時、王宮から手紙が届いた。
階段から落ちた事への見舞と、卒業パーティでエスコートできない事が
書かれていた。
「これはどういう事ですの」
めったに声を荒げない母親が、声を上げる。
「皇太子殿下も困ったものだ」
両親は何よりも家格を重んじる、
そんな二人を冷めた目でみていた。
「ロザリアはどうなの!」
「私は、皇太子殿下に従うまでです」
今までなら、金切り声をあげて、母親と一緒に抗議していたので、
家令達が、内心驚きながら私を見ている。
「とにかくマーロンに」
「けっこうですわ」
マーロンは従兄の名前だ、父親は従兄に代わりにエスコート
させようとしているのだろう。
驚いた顔をしている父親に告げる
「私をエスコートできるのは皇太子殿下だけ、
ファーストダンスを踊れば、皆も何も言いませんわ」
紅茶を飲みながら、ゆったりと答える私に、
父親もどさっとソファーに座る。
「それもそうだ、お前ほど可愛い女性はいない」
「もちろんですわ」
優雅に微笑みながら、”私女優になれるかしら~”とか、
心の中で考えている。
父親の頭の中にあるのは、王家と繋がりを強化して、
自分が美味しい思いをする算段だけだろう。
”大切な娘”と言うのは、
”自分が美味しい思いをする為に大切”だと言う事だ。
紅茶を飲みながら、ロザリアの周りの人を思う、
メイドも雇われただけで、親身ではない、忠誠などもっての他。
友人はと言えば、学園の友人(取り巻きを含め)も含め
公爵令嬢でなくなると、すぐに縁を切るタイプばかりだ。
うーん周りの人に恵まれてないのよね。
人脈ゼロである。
まあ、悪役令嬢だしね・・・仕方ないのかな?
信用できるのも、頼みにできるのも自分だけ。
とうとう明日が断罪の日。
左足に付けたブレスレットを軽く撫でた。