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ルナルール国でする事は聖具集めだ。
聖具は全部で5つ。
・ネックレス『無効化のネックレス』
・指輪『防御の指輪』
・剣『聖剣』
・杖『大聖女の杖』
・本『調合の書』
手紙によると、一番簡単で、
最初にお勧めと書かれていたのが、
聖具の本である『調合の書』を入手する事。
調合はポーションで成功率30%、
ハイポーションなら10%しかなく、コスパが物凄く悪い。
ただ、『調合の書』があれば、ポーションは100%、
ハイポーションでも80%の成功率となり、
劇的に変化するとの事だった。
イベントはいくつかの手順を踏まないと、
クリアできない事も多いが、『調合の書』の場合、
売っている店を見つけるだけでいいとの事。
ただ、この『調合の書』がどこにあるかが問題で、
日本とは違って本は高級品でほとんど流通しておらず、
本屋なども存在しない。
ルナルール国は本について生産が盛んな国ではない、
貴族・王族が持っているのなら、
もう皆に知られているはずなので、
どうやって『調合の書』を手に入れるのか、
全くの謎と言う事だった。
ドワーフの店と言うキーワードはあるが、
ドワーフは鍛冶屋を営む事が多く、
『調合の書』と関係があるとは思えない。
ん、ドワーフの店?
最初ルナルール国に来た時、大聖堂で紹介してもらったお店、
店員ドワーフじゃなかったかしら?
どきどきして、次の日ドワーフの店に行くと、
相変わらず商品が店中に積み上げられている。
これではどこに『調合の書』があるか分からない。
「あの、すみません」
「なんだい」
相変わらず、少しぶっきらぼうなドワーフが応える。
「本を探しているのですが」
「本?そういえば一冊だけあったような・・・」
そう言って、店の商品をどんどん移動させていった。
商品と商品の奥、のその奥。と言った感じだ。
これは・・・絶対普通じゃあ見つからないよね。
「あっ、ほらあったよ」
ドワーフに渡されたのは、洋装で分厚いカバーがついた、
いかにも高級そうな本だった、
確かに『調合の書』と書いてある。
どきどきして本を捲る。
そして唖然とした。
本は200ページはあるだろうか、
分厚さがあるのに書かれているのは最初の2ページだけ、
他は白紙だった。
本当にこれが『調合の書』なのだろうか?
少し不安になりつつも、エリーゼの情報を信じ買ってみる事にする。
「この本いくらですか?」
「この本が欲しいのかい?変わっているね」
私もそう思う。
「本は高額品だが、見た通り2ページしか書いてない、
特別に500万リラでいいよ」
「500万!」
回復魔法の仕事で、ある程度お金があるとは言え、
とても買える金額ではない。
2ページだけなのに・・・
うううっ。
母国から持ってきた宝石が売れていれば、
購入も可能だったかもしれないけど・・・
「買うのかい?」
ドワーフがどこか期待した目で見てくる。
その目には申し訳なんだけど・・・
「お金が足らないわ」
一番簡単なイベントでこれなら、
他の聖具はどんなに入手が大変なのかしら?
少し不安になりながらも、断念して店を後にした。