初めての交流
「大丈夫ですか?」
おそらく先輩の【旅人】に話しかけられた。僕が何すればいいのか分からず右往左往していたから心配して声をかけてくれたのだろうか。
「すいません,何分始めたばかりでございまして,更にはチュートリアルも受けておらず全くの手詰まりで...」
チュートリアル...ちょっとは聞いとけばよかったな。手探りな方が好きだが目標がないと何を探せばいいのかもわからない,そんなんでは魔王なんてなれやしないだろう。
「始めたばかり?最初は自由都市からでは?」
ご尤もです...
「ヴァン...さっき消えたイケメンにいきなりここに連れてこられまして,ここがサリヴァンだということはわかるのですがそれ以外は...」
せめて地図を...なんて思ったがヒントはいらないって言ったのは僕だ。
「あぁ,彼氏さんに。彼氏さんは今どこに?」
は?この人今なんて?僕がヴァンの彼女だと思っているのか!訂正を!
「いえ,彼氏ではないんです。あいつ顔はいいけど変態なんで恋愛感情はありません。ヴァンは多忙なので次に会うのは二週間後の武神祭とだけ...」
「え?いきなりここに連れてこられてじゃあ二週間後ねって放置されたってこと!?」
言葉に表すととんだ最低野郎だなあいつ。
「そう...なりますね。良ければ少しだけでもこの街を案内してくれませんか?勿論お礼はいたします。」
折角話しかけてくれた優しい人だ。打算があったとしてもそれを行動に移せるだけの勇気がある,なら乗ってやろうではないか。
「俺は別にいいけどちょっと待ってね,フレンドに確認するから。」
待ち時間が暇だったから話しかけてきたというところか。相当な陽キャじゃないのかこの人。
「OK,確認が取れた。ちょっとうるさいけど良い奴が来るから驚かないでね。」
こっちから急に申し込んだ事だ,文句を言うつもりはない。
「大丈夫ですよ。」
「良かった。そろそろ着くと思うんだけど...」
「んっ!」
そこには少し小柄な少女が現れた。
「こいつはミカ,狼に育てられたから人語を喋らないっていうロールプレイをしている変な奴だ。あぁ,俺の自己紹介がまだだったな。俺はゴハン・アブラハム・バーガー・キャベツ,長いからゴハンでいいよ。」
「ミカさんとゴハンさんですね。僕は玖原 せき,どうぞせきと呼んでください。」
僕としたことが名乗るのを忘れていた...ヴァンのせいにしておこう。ミカさんは狼に育てられたから人語を話せないらしいが狼は「んっ」って鳴かないと思う。ゴハンさんは美味しそうな名前だな,古典派の作曲家の名前に似ている気がする。
「せきちゃんだね,早速だけど街案内をしよう。まずは雑貨屋だな,専門店と違って一つの店で簡単なものは揃うよ。」
なるほど,僕のような初心者は専門店で変えるほどの財力はないと踏んで雑貨屋を選んだのか。
「ん,ん〜んっ!」
ついてこいということかな。言語を介さないコミュニケーションもいつか身に付けなくては。
「あっ,そうだせきちゃんってAGIいくつ?それに合わせて歩くよ。」
「1020です。」
ここで嘘をついても仕方がない。
「たっか。」
「え?」
今ミカさん明らかに「たっか。」って人語を話したよね?ずっと目合わないし確実にそうだ!
「1020?!102でもなく?!TOPプレイヤーのフルバフ状態でやっと1000を超えたって聞いたけど?!」
「あっ,信じられないならステータスみます?」
最初から見せればよかったのだ。
「俺も気になるし今回は見せてもらうけど,ほいほい人にステータスを見せちゃ駄目だよ?それは自分の攻撃スタイルから弱点まで晒すってことだから。」
あぁ確かに。じゃあちょっと【偽装】して...
ーステータスー
【名前】玖原 せき
【Lv】1
【種族】人間
【性別】女
【元素】風
【属性】無-中立
【職業】なし
【HP】100
【EP】100
【STR】1
【VIT】1
【ELE】1
【MIN】1
【AGI】1,020
【DEX】1
【スキル】
・【ヒットエンドラン】
【装備】
[頭]なし【アバター】◇淑女の髪飾り
[胴1]旅人の服【アバター】◇淑女の軍服上[胴2]旅人の下着上【アバター】◇淑女の魅力
[右手]なし【アバター】◇淑女のレース白[アクセサリー]◇大怪盗の指輪
[左手]なし【アバター】◇淑女のレース白
[腰1]旅人のスカート【アバター】◇淑女の軍服下[腰2]旅人の下着下【アバター】◇淑女の秘密
[右足1]旅人の靴下右【アバター】◇淑女の領域[右足2]旅人の靴右【アバター】◇淑女の覇道
[左足1]旅人の靴下左【アバター】◇淑女の領域[左足2]旅人の靴左【アバター】◇淑女の覇道
今気付いたけどこのアバターって下着もあるのか...って事はヴァンは今履いてる下着のデザインまで知ってるって事か!2週間以内にもっと強くなって本気で殴ってやる!
「本当に1020だ...しかもLv1って...このゲームのチーター生存時間は0.1秒切ってるしな,疑ってすまない。」
あぁ,何かチートでも疑われたのか。無理もない,Lv1の初心者が魔王国に居る時点でおかしいのだから。
「ん?!ん!ん〜ん〜んっ!」
ミカさんがゴハンさんに何か訴えてる,あれは...掲示板?
「どうしたんだミカってああああああ!せきちゃん!もっと謝らなくちゃいけない事がある!実は君と一緒に居た人をNPCだと思って掲示板に載せてしまった!」
あ〜何だそういう事か。
「大丈夫ですよ,いい宣伝にもなります。」
「宣伝...?」
「はいっ!実は僕理想の声で歌う為にこのゲーム始めたんです!you nameで玖原 せきっていれると出てくると思うんですけどシャルボPをやっておりまして!」
ちょうどいいし宣伝しよう!
今日投稿する気は無かったんですけど先輩が100円自販機で当たり引いた記念にあげます。私事なのでこういうのは無い方がいいのですがツッタカターが×になってから触ってないのでここで...×始めようか迷っているので近日中に答えを出します...