着いてけない
遅れてすみません!
「帰って来れないって?」
少し心当たりがある様な様子でヴァンが問いかける。
「んぁ?言葉の通りだ。例えば嬢ちゃんが自分を男だと偽ったとしよう。その場合偽る度合いによって自分自身の考えにも影響が出てしまう。」
ラスクが僕の方に向き直り念を押すように額に指を押し当てる。
「いいか,俺は自分を騙る時どこまで行ってもそれが嘘であると自覚できる。だが嬢ちゃんは違う。自分を偽っていると言う感覚が無くなってしまうんだ。自分が女だと思えなくなり一生を終えるかもしれない。それが獣だったりもっと別のものだったりすると...どうだ?」
「それは...怖いかも。」
「だろ?だから信頼する誰かに自分を覚えていて貰え。そいつに言われた自分に戻れるようにな。...と言っても周囲の違和感は拭えないだろうがな。世界を偽るなんざいくら魔力がいるんだか。」
ん?
「魔力があれば出来るものなの?」
「魔力だけって訳じゃねえよ。それだ!っていう明確な意思が必要だ。」
んん?
「それさえ揃えば例え神にだってなれてしまう。一長一短な能力だとは思うぜ?...どうした?3人して黙りこくって。」
3人して顔を見合わせる。ヴァンの心当たりがある様な雰囲気はいつの間に確信に変わり,僕をじっと見詰めている。
「魔力。」
「...無限。」
「明確な意思。」
「...言霊。」
「神にだってなれる。」
「...なりました。」
「結論。」
「...やばい。」
ヴァンが僕の顔を両手で掴み顔を寄せる。ビジュ良...
「せきちゃん?緊急時以外で過度な属性の乱用禁止ね?」
「あい...」
過度ってどの範囲だろう...まぁ自分を偽らなければいいかな?
「...俺いらん事言ったか?」
「いや,ファインプレーよ。せきちゃんが神敵ならない為にちゃんと管理しないと...ラスク?私の姿を前の男性の姿に出来る?」
「神敵ってお前...流石にそこまでか?」
神敵ってなんだろう...真面目な話なんだろうけどイマイチ着いていけないな。
「そこまでよ。で?出来るの?」
「そりゃ出来るけど何でだ?」
「私今魔力が有限なの。常に男体化にリソースは割けないし...」
「おいおいなんの冗談だ?紛いなりにも魔神のお前が...」
紛いなり?
「おいラスク!」
「いいよニア,事実だったし。今の魔神はせきちゃんよ。」
「んな?!」
色々と整理できないんだけど...僕はどうしたらいいの?




