魔王
遅れてすみません!
『けっ...決着ぅぅううう!せき選手がイシュラメイ選手を下し,今ここに!新たなる魔王が!第66代魔王が!誕生しましたぁぁああああああ!』
鼓膜を破らんとする程の歓声が遅れて耳に入る。今まで蚊帳の外において全く意に介していなかったのでちょっとびっくりした。
そっか,僕勝ったんだ...ありがとう二人とも。二人がいなければ今頃僕は...
((勝手に殺すな!))
分かってるって...ありがとう。
(それにしてもよくあそこから捲れたな。)
(正直情報を取れるだけだと思ってました。)
酷くない?まぁヴァンが居なかったらもっと大変なことになってたからね。
「せきちゃん。」
「ヴァン!...ごめんね迷惑かけて。魔力とか吸っちゃったし...」
「それについては後で話そう。でも今はおめでとう。君が新しい魔王だよ。」
ヴァンはやっぱりかっこいいな。女性のヴァンも好きだけど男性のヴァンはなんというか...守ってくれそうで...
「ねぇ,魔王って結局何すればいいの?」
「それについては私から。」
「魔王?!」
「魔王はもう君だろう?...ごきげんよう我が君。相変わらず男性の姿をとっておられるのですね。」
「君みたいなのがいるからね。」
「これは手厳しい。さて...せきさん。先ず魔王とは何かを知らずにここまで来たことを褒めていいのか悪いのか。」
「雰囲気違くない?」
最初に会った時にさっき戦った時,今と全然違うよね?
「貴方だって時と場合で態度を変えるでしょう?家族や目上の人,敵それぞれに同じ態度で接するのは不可能に近いので。」
まぁそれもそうか。
「話を戻しましょう。魔王とは力の象徴,国防の要です。故にする事は一つ...敵の殲滅です。」
「え?それだけ?」
「はい。昔は政も職務でしたが腕っ節だけの魔王が多いので外敵の排除だけになりました。と言っても規定以上の危険度を持つものや戦争を仕掛けられた場合のみですが。」
「思ったより簡単そう。」
「ですが!魔王に付きまとう非常に面倒くさいことが一つだけあります!」
「そ,それは...!」
「常に命を狙われます!私も職務中に後ろからグサッといかれました。」
あっ...
「特に魔王就任初期はやばいですよ。睡眠すらまともにとれません。」
「きゅっ,急に嫌になってきた...」
「まぁそれが嫌で魔王にならない修羅がこの国は沢山居ますからね。」
(まぁ俺らの場合ログアウトすればいいだろ。)
確かにそうか。危ねぇ流石にエンドレスで殺しに来られるのはきついからな。
「じゃあ魔王じゃなくなったらどうするの?」
「嫌な質問ですね...一応先代と言う事になりますが所詮は負け犬と言う烙印を押されますのであまり意味は無いです。魔王じゃなくなったらただの一般市民ですよ実質ね。」
「世知辛いね。...あっ,就任式とかあるの?」
「特に無いですね。御前試合に勝って我が君が認める。それだけで魔王の任は移ります。」
「せきちゃんそろそろ...」
「ヴァン?どうしたの?」
「あぁ...取材陣とあわよくば殺そうとしてくる奴らが来ますよ。...なので私はこれで。」
「ニアの所で待ってるから...また後で。」
「え?え?」
一瞬にして取り残されてしまった...取材陣か,やっぱり新しい魔王って一面はインパクト強いだろうな。
「お命頂戴!」
「っぶな!」
いきなり首元に大きな衝撃が来た。不活性状態だけどカノンを装備して無かったら首飛んでたかも。
「どけどけどけぇ!魔王を殺すのは俺だぁ!」
「魔王様!どうか一言だけでもお言葉を!」
(これ...まずいですよ。)
(下手すりゃ揉みくちゃで死ぬかもな。)
僕は静かに自分の存在を薄め始める。
「何処だ!探せ!まだ遠くには行ってないはずだ!」
「各班に連絡!包囲網を!絶対に会場から逃がすな。」
もう魔王やだ。




