あの子の為にも
「...サリヴァン,そろそろ出てきたらどうじゃ?」
「...そう,だね。」
私はニアの呼び掛けに答えて姿を現す。
「止めなくて良かったのか?せきはどう足掻いても現魔王には勝てん,万が一勝てたとしても他の奴に殺されて魔王の座を直ぐに引き降ろされるじゃろう...それは主の望みでのあるまいて。」
「星神にも言ったでしょう?甘やかし過ぎるのはあの子の為にもならないって。」
あれは...せきちゃんが覚醒する前の事。流石におかしいと思い始めた星神が介入しようとした時だった。
*
「...まち。」
「成功はする。だがその結果どうなるかは私も分かりかねん。」
「それは...今すぐ私が介入しても問題ないって事でしょ?」
「待ってください!」
私は相手にとって自分が塵芥に等しい存在だろうとそれを止めなくてはならなかった。
「...誰?貴方。」
「私はサリヴァン。...せきちゃんの,この世界での保護者の様なものです!」
「何言ってんだお前...!」
「ひぅっ...」
今までで感じたことの無い威圧感。私が子供だった頃,この世界の創造神に謁見した時よりも強く濃密な力量...それでも私は引く訳には行かない。
「...せきは!確かに今苦しんでいるかも知れません!しかしそれが!成長を促すのだと私は確信しています!ですからどうか!もう少しだけ...見守ってはくれないでしょうか!」
何度も見てきた(・・・・・・・)からわかる。せきちゃんは今過去のトラウマのようなものと戦ってるんだ。せきちゃん独りじゃ負けちゃうけど...あの二人が居れば乗り越えられる!だから...!
「巫山戯るなよ...!私に!義弟が苦しんでる姿を黙って見てろとでも言うのか!」
彼女の拳が真っ直ぐと私に向かってくる...今動き出そうにも致命傷は避けられない。ならばせめて一撃だけでも!
「シエラ!」
言霊神の言葉で世界が止まる。
「彼女の言葉を全面的に支持するわけではないが,どうせ成功するのだ。気長に待ってせきの成長を促せ。多少のストレスを与えないと人はダメになってしまうのでな。」
「...わかった。本人(・・)が助けてって言うまで待つよ。」
「...ありがとうございます。」
*
「あの時はもう死んだと思ったのじゃが...何故そこまでする?あれぐらいの娘なら探せば居るじゃろうに。」
「...ほんと何でだろうね。」
「あまり深入りはするな。せきは人間...それに旅人だ。いずれ会えなくなるのじゃぞ?」
「分かってるよ...」
分かってるけどさ...




