そしてそのまま...
僕は...あの後怖くなって逃げ出した。
最初は良かった。ラドニアが泣きながら出てきた血を飲んでるのはちょっと引いたけど夢が叶ったんだって思うとまぁ許容できた。でも神の血を再現するのは相当魔力を使用するようで,最初の一杯で打ち止めだった。ラドニアが余韻に浸ってる間はラドニアの眷属...吸血鬼達が自分の魔力限界ギリギリまで注ぎ込んだ理想の血を飲んで感涙と魔力不足で倒れるというのを永遠と見さされた。
もうこの時点で帰りたかったけど行く宛てがあるわけでは無いのでデウス・へドロンでバイクを作って遊んでたら一部の吸血鬼が興味を持ったみたいで会話が弾んだ。
そうこうしている内に復活したラドニアが結構な量の血を出し始めたのだ。
どうやら実際の血を飲んだことある場合は必要魔力量が下がるみたいで大量生産したのだ...僕の血を。
確かに私は神では無いし,ラドニア的には格下相手なのでそれこそ湯水の如く私の血を飲んでいた。この時帰れば良かったのだ。
ラドニアからお零れを貰った吸血鬼達の僕を見る目が変わった。あれだ養殖鰻を食べて感動した後に高級鰻を見た目だ。
だから逃げた。普通に怖かった。世界を偽って認識を薄くし,ガチで逃げた。当分あそこには行かない。
(酷い目に会いましたね。)
「ほんとだよ...せっかく面倒事が無くなったって言うのに...」
(一難去ってまた一難だな。)
笑えない...
「これからどうしようかな...」
(正直行けると思うんだよな。)
「何が?」
僕の中から光が溢れて人の形を取る...悪魔だ。
「魔王だよ魔王。デウスの奴とヴァンの加護,それとヘドロンがありゃ余裕だろ。」
「いやそうとは限らないでしょ。」
「それこそさっき逃げた時だって正直ラドニア以外は脅威に感じなかったんだ。束で来てもな。だからラドニアの奴も止めなかったんじゃないか?」
「私もそう思いますね。」
「天使まで...」
こいつらいちいち出てくるなんて...まぁそれだけ自分だけの身体って言うのが嬉しいんだろう。あれ?僕専用の身体無くない?
「おい,目を背けるな。」
はぁ...仕方ないって言ったら仕方ないか。僕の体は元々二人を吸収して出来上がってる訳だし。
「でもどうやって魔王になるんだ?」
「あぁ...実はせきが吸血鬼と話していた時に聞いたんだが...どうやら魔王を倒せば良いらしい。不意打ちでも何でもな。」
「えぇ...それで良いの?」
「勿論それだけじゃないですよ。どうやら魔王を如何なる手段でも良いので一度殺すことで御前試合...ヴァンの前で魔王と戦う権利を得ることが出来ます。そして見事御前試合で勝つ事が出来れば...晴れて魔王となるわけです。」
「だから...ちょっとこのまま魔王に闇討ちしないか?」
「...やろうか。」
そして僕達はそのまま...魔王を殺した。




