気付いた
「覚悟って何?」
『お主の気付いておろう。今自分の体がどうなっておるかは...まぁ概ね正解じゃ。確かに覚醒すれば存在の格は上がる,何故ならば魂の根源とも呼べるモノの昇華じゃからな。しかしじゃ,世の中には複属性もまぁ珍しいものじゃない。そして複属性持ちの共通点は魂,またはそれに準ずる何かを複数持っている事。そのバランスと言うものは均衡に保たれる...この世界の住人は。』
「僕がこの世界の住人ではないから不味いって事では無いよね。」
『そうじゃ。旅人がこちらの世界に来る装置の方に問題がある。じゃが...だいぶ改善されては居るな。お主もおかしいと思ったじゃろう,目の見えぬ妹の為もあったじゃろうが既に妹の使っている機械を応用すれば1ヶ月もかからないだろうと。』
それは...常々思っていた事ではある。1ヶ月という物は今の時代ではほぼ一年と言っても過言では無い。このゲームのように人間の感覚を引き伸ばし,時間を得るなど容易い事ではあるのだ。だが,時給計算や精神の早期老化などまだまだ課題はある為あまり主流では無い。
『お主の身体はちと特殊じゃからな。一つの体に3人が綺麗に同居しておる故にそこら辺の調整もあったのであろう。しかしじゃそれでもカGAくという物は人間の神秘にはまだたどり着けなかった。お主たちはのう...混ざってしもうたのじゃ。それが此方に来る一瞬かその身体に移る一瞬かまでは定かではないがの。故にせきよ,お主の精神は不安定である。あちらの世界との乖離がどんどん大きくなっておるのじゃ,最悪戻れなくなるやもしれん。それでもお主はやるか?もし失敗すれば闇か聖どちらかが消えるぞ?』
「少し...考えさせてくれ。」
―――
あの後,僕達はログアウトして話し合いをしていた。
(で,結局どうするよ。言っておくが所詮あれはゲームだ,ラドニアが言ったことが全て本当とは思えねぇが...いや正直俺はあれがゲームだとは信じきれねぇかもしれん。あそこまで言い当てられちゃ何も否定はしねぇよ。)
(そうですね,私もあれがゲームだとはにわかに信じ難いです。まるであちらの世界が本当にあるような感覚に陥ってしまいます。)
「その事については否定はしない。あのゲームは何かがおかしい。どうもプログラムで動いている気がしないんだ。」
(せきがそう言うって事はAIとも違うと言いたいのでしょう?)
「最初にあったチュートリアルAI...アインか。その他会ったあちらの住人は明確に何かが違う。なんだろうな,こう考えたからこう発言するだろうって感じとこう考えてますよって発言する違い?上手く説明出来ないな...」
(人間に限りなく近いって感じか?)
なんとなく違う気がしてふと時計を見る。その瞬間,形容し難い不快感に襲われた...
違う...違う違う違う...気付いた...否気付いてしまった...
(せき?大丈夫ですか?)
もしかしたら...いや違う。あの世界は現実だ。何故忘れていたんだ?いつから無機物が嘘をついて...それが分かるようになったんだ?
(せき?何か気付いたのか?)
「悪魔...今何時何分だ?」
(ほんとにどうした?あの時計は5分早めているから...っておいまさか!)
「そのまさかだ。僕に嘘は通用しないらしい。」




