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BGM音量0  作者: 喋道
1/3

ツバキの家まで

 学校が終わり、ツバキと一緒に帰り路につく。ツバキとは同じクラスになった高校からの付き合いだが、帰る方向が同じだとわかると、わりとすぐ家に招かれた。一度行けば、それからは、毎日のように一緒にゲームをするようになった。しかし、ゲームを作るやつだとは思わなかった。不思議ちゃんだから何をしても特段おかしくはなく、驚きはない。ただし、それ以上にものぐさな奴だと思っていた。休み時間に聞いた話では、『ホラー風の短編ゲーム』ということだったが……ほかには特に話すこともなかったので、もう一度たずねることにした。


 「クソゲーなんだろ?」

 「日本の財産さ」

 「ありえねーだろ!」

 

 ふざけて聞いたらふざけて返されたので、俺は、思わず突っ込んでしまった。ツバキは、そのことを気にも留めないで続ける。


 「例えばさ、何の変哲もないサイトがあるとすんじゃん?」

 

 ”すんじゃん?”に違和感を覚えつつも、俺は、ああ、と相槌を打つ。どういうのか知らないが。


 「BGMもなにも流れてない普通のサイトだよ。たまにBGM流れてる個人サイトもあるけどさ、そういうのじゃなくて、普通のサイト」

 「それがどうしたんだ?」

 「そのサイトにBGMが流れてないとは限らないってのをネタにしたゲームさ」

 「ふーん……」


 ツバキの言うことがどういう意味だかを少し考え、分かりかけたが、しかし、完全に理解する前に、ほぼ反射的にそれがどういう意味か尋ねた。ツバキは、”そのまま”の意味だとして、その詳細を語った。


 「簡単だよ。そこには、人の悪意が流れているかもしれない。”音量がゼロ”なだけでね。再生はされてるのさ」


 理解にいたらないものの、なんかしっかりホラーな気がした。ゲームへの期待感が上がり、素直にすごく面白そうだと感想を伝える。


 「でも、それをプレイヤーに明かすことは、まぁ、ないんだよね。最後の最後。だから、まぁ、ほとんど退屈なゲームだよ。一発つーか。それだけの。それだけ知ってたら、あとは、終わりみたいな」


 平坦な、なだらかな道とはいえ、俺との位置関係的に、ツバキは、振り向きながら話さなければならないので、自転車を漕ぎながらだと少々ふらつくことになっており、俺は、それが気がかりになっていた。しかし、”早く帰ろう”と提案するのも、なんだか負けた気がして一瞬気が引けたが、このままの状態を続けるのはよくないと思い、結局、早く帰ることを希望した。

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