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マリオネットの痴漢

 正体不明の痴漢を逮捕するため、囮捜査を展開した私たち。

 上手いこと囮になった私に引っかかってくれたけど、監視役の雨月から訳のわからない報告が来た。


『お前の尻にな――人形が張り付いている』


 ――はい?


『パーピー人形ってあるだろ、小っちゃい女の子が遊ぶ人形シリーズ。そのパーピーが裸で、お前の尻を這いずり回ってる』


 何それ? 痴漢ってだけでも恐怖なのに、人形がひとりでに動き出してるって、別の意味で恐怖じゃん。


『何かの特技を悪用してるんだろ。そして目的が痴漢である以上、人形と感覚を共有している可能性が高い。そうであれば、こっちもやるようはある。――動くなよ』


 すると、金属をはじく音が聞こえたかと思うと、私のお尻に衝撃が。続いてお尻をなで回されている感覚が消え、そして。


「痛っ!!」


 私の近くにあるシートの先から、悲鳴のような声が聞こえた。


『500円玉をはじいて人形の頭に直撃させた。それと感覚を人形と共有しているのは本当だったようだな。悲鳴を上げたヤツが痴漢犯だ!』


 ところが、タイミングが悪いことに駅に到着してしまった。


『犯人が逃げるぞ。俺はヤツを監視している。合流次第追いかけるぞ』


「了解。すぐそっちに行くから」


 それにしても、さっきの悲鳴、女の人の声だったような……。




「雨月!」


「石田、こっちだ」


 ホームに降りた私は、雨月と合流。痴漢犯を確認する。


「ほら、あいつだ」


「え……あの人って……」


 雨月が顎で示した人を見て絶句した。

 その人物は、20代位の、ごく普通の会社員風の――女性だった。


「痴漢が女だってわかって混乱してるだろ? でもな、事実だ。余計な先入観は捨てた方がいいぞ」


「う、うん……」


 私は雨月の事を信用しているし、なによりあの人は後頭部をさすっている。人形のダメージを共有した結果である事は明白だった。

 なので、私は覚悟を決め、バウンティハンター仮免許を取り出しながら女性を問い詰めることにした。


「すみません。バウンティハンターですが、少々お話を――」


「……クッ!」


 すると、痴漢犯は腕を大きく振るって私を振り払ったかと思うと、そのまま懸けだしてしまった。


「あ、追うよ、雨月!」


「分かってる!」


 そして、私たち二人と痴漢犯のチェイスが始まった。




「待て!」


 雨月は走りながら、自分の武器を組み立てていた。弓のような形状をしていて、矢に相当する部分が筒になっている。

 その名を『レーザーアルクス』。弓のように操作することで筒からレーザーを射出するという。

 雨月のいとこがバウンティハンターをサポートする技術者を目指していて、その人が雨月の特技や癖を意識して作成した、雨月しか十全に扱えない武器らしい。


 そのレーザーアルクスを、雨月は発射した。

 もちろん一般人がいるので威力は最小限、威嚇射撃目的のものだ。


 だが、痴漢犯は足を止めること無く走り続けている。

 ところで、今いる駅はかなり大きい駅で、いくつもの店が入っている駅だ。

 そして、ある店の前を通りかかった。


「ここ、おもちゃ屋さん……? まずい!」


 次の瞬間、おもちゃ屋さんに並んでいたあらゆる人形が、私と石田に飛びかかってきた!


「……この!」


 少し取り付かれてしまったが、私が筋力を強化した腕で一気に払った。


「大丈夫、石田!?」


「ああ、助かった。まだ見失ってないから追うぞ」


 しばらく追いかけていると、痴漢犯はとある店に侵入した。


「これは……」


「ああ、ヤバいな……」


 そこは、ファッションショップ、つまり服屋さんだ。

 服屋さんとなれば、当然『アレ』があるはずで……。


「やっぱり」


「予想通りだな」


 マネキンが2体、私たちに襲いかかろうとしていた。




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