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雨月の目撃証言

「大丈夫か、雨月!」


「ああ、石田か。なんとか生きてるよ」


 個室式の病室で、石田はベッドの上で横になっていた。体中包帯だらけで非常に痛々しいが、声を聞く限り元気そうだ。


「雨月君、早速で悪いけど、雨月君に襲いかかった人物について聞かせてもらえるかな?」


「わかりました、北山先生。あれは俺にとって、衝撃的な体験でした……」


 雨月が話したところによると、久野神社の床下から突然若い男が出てきたらしい。

 時間的に本殿には入れないようになっているはずなのに人が居たことから、雨月が声をかけた。

 すると、その男は短冊のような物を手に持ち、次々と雨月のプライベートを言い当てたらしい。


「それで俺は武器を構えました。ですが、その後に起こったことが衝撃的だったんです」


 なんと、若い男だったのが一転し、幼い女の子に変化したらしい。


「石田は覚えているか? スキミング事件の時、聞き込みした人の中で女の人とその娘らしき人がいただろ、親子そっくりっぽく無かったが。その娘だったんだよ。……まぁ、よく似た人物かもしれないが」


 ……また、あの親子だ。それにしても、久野寺で魔方陣が描かれる前にも、母親の方に僕は会っている。

 まさか、2人で共犯……?


「その時、俺は動揺していた。その隙を突かれて攻撃をズタボロになるまで食らったよ。短冊みたいなのを掲げると、俺に感知できない斬撃を無数に浴びせてきたんだ。おかげでこのザマだ」


 これが、雨月の身に起こった一連のあらましだった。

 そして、この話を静かに聞いていた伊藤さんが口を開いた。


「もし博物館強奪事件から始まる一連の事件が同一人物の手による物だとしたら、文学魔法使いが関わっている。雨月君が見た短冊のような物というのも、魔法を発動させるための詩が書かれているんだろう。

 とりあえず、自分はもう少し魔法側から事件を追ってみるよ」


 そして雨月が、かなり気になる事を言った。


「そういえばあいつが俺に襲いかかる前、気になる事を言ってたぞ」


「気になる事?」


「ああ、ハッキリとこう言っていたぞ。『妬ましい』ってな」


 『妬ましい』? 僕達はあの親子に会った時、妬みを抱かせるような真似をした覚えはない。一体何があの子に妬みを抱かせたのだろう?



「すごいね、行代さん。誰にも邪魔されないどころか、全然気付かれないで魔方陣を仕掛けちゃったんだもん」


 ごく普通の一軒家で、在原康子は共犯者である西行代を絶賛していた。


「まぁ、元々人通りが少ない場所だったからね」


 謙遜するように行代はそう言った。


「それにしても、あたしはまだまだだなー。すぐバウンティハンターに見つかっちゃったし」


「それは、私にも落ち度があるわ。帰りの札を用意してなかったし。それよりも、感情に任せて攻撃したらダメじゃない」


「それは、まぁ……反省してる」


 康子はばつが悪そうに答えた。


「康子ちゃんの過去を考えたら、ああいう行動に出てしまうのも仕方が無いわ。でも、目的を見失っちゃダメよ」


「うん。もう二度とあたし達みたいな悲劇を起こしたくない」


 そして、康子は改めて決意を胸に刻み、行代に尋ねた。


「次は、どこに仕掛けるの?」


「久野市の南西に位置する山『久野山』にある『愛染堂』。そこに魔方陣を刻めば、全ての準備は整うわ」


「わかった。そのためには、作戦が必要だね」



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