表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もう未来なんて売らない  作者: バーニー
87/112

その⑧



 その、冷たい五文字を見た時、心臓がびくっと跳ねた。

 さようならって…、なんだよ。何にサヨウナラなんだよ…。

 僕は一度駅を出て、人混みの少ないところに移動してから、母さんに電話を掛けた。

 ワンコール、ツーコール、スリーコール…。

『もしもし?』

 出た。だけど…、母さんの声じゃない。男のものだった。

「え…、あ、あの…」

 僕は掛け間違いを起こしたのだと思い、すぐに謝って切ろうとした。

 だが、電話の向こうの男が、切羽詰まった様子で言った。

「ヒイラギマコトくんだよね!」

 僕の名前を知っている。

「はい…」

「ごめん! すぐに連絡しようと思ったんだけど…、サチさんのスマホのロックを開錠できなくてね。丁度良かった!」

「…なんですか?」

 僕は路地を歩き、夜の闇を見つめながら聞いた。

「何かあったんですか?」

 その時、僕は電話向こうの男を恨んだ。

 もう少しさ、ワンクッション、ツークッション置いてほしかった。心の準備をしたかった。まあ、仕方がないことだと思う。なんでもかんでも、漫画みたいに、「○○さん、落ち着いて聞いてくださいね…、実は…」なんて前置き、挟むことはできないんだ。だって、当人だって動揺しているんだから。

 まるで、町を歩いているときに、唐突に脳天を銃で撃ち抜かれたような衝撃が、僕を襲った。

『キミのお母さんが…、死んじゃったんだ』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ