09.喜んでもらえるといいな
バレン・タイン当日、私は朝からチョコレート配り。
上級生に十七個、同級生に十個、本命一個。
今まで私に声をかけてくれた人や、一緒に遊んだ事のある男友達に渡すんだ。
日記に学年と名前を書いておいて良かった。
家名は長くて覚えられなかったので、書いてないんだけどね。
だから、義理チョコには相手の名前は書いてません。
メッセージも誰に渡っても大丈夫な事を書いた。
同級生へのチョコは、朝机の中に入れてきた。
他クラスの人も前日に座席は確認済み。
校舎が同じ第五から第八クラスまでだけなので、すぐに配り終わった。
上級生は、昼休み教室に居たクラスの人に、相手の名前を伝えて渡してもらう事にした。
本人を探して手渡ししても良かったんだけど、義理チョコだからね。
変に勘違いされても困るし。
本命は、三学年のタリル様にした。
一度一緒に街に遊びに行った事があって、とても紳士的でカッコイイ人だった。
恋人になれたら、一緒にバレンスイートに行きたいな。
手渡ししたかったけど教室に居なかったので、クラスの人に頼んできた。
放課後は、残りのチョコレートを渡しに行きました。
「ルナ!これ友チョコなんだけど、貰ってくれる?」
「まぁ、ありがとうございます。ごめんなさい、私は何も準備していなくて」
「いいの、いいの、友達になった記念に貰って」
「ふふふっ、いただきますわ。今日、男子寮の談話室にお兄様に会いに行くんですけど、一緒に食べてもいいですか?」
「いいけど、良かったらこれ、お兄さんにどうぞ」
私はルナにもう一袋、チョコレートを渡した。
ダンテ様に渡す分を間違えて買ってたんだよね。
もう友達としても付き合いたくないから、義理でも渡すつもりはない。
「ありがとうございます。喜びますわ」
「私もこれから男子寮に行くんだけど一緒に行く?」
「申し訳ありません、用事があるので、それを終わらせてから行きます」
「そっか、それじゃ、また明日ね」
「はい、また明日お会いしましょう」
余ったチョコを、ルナのお兄さんに貰ってもらえて良かった。
喜んでもらえるといいな。
さて、最後のチョコを渡しに男子寮に行きますか。