07.初めて女友達ができた
何だか最近みんなソワソワしている気がする。
クラスの女子が集まって、男子を見てキャーキャー言っている。男子の方も、女子を見て何かを期待しているみたいだった。
この空気、私は前世で体験した事がある気がするんだけど。
んー、二月にある行事……はっ!高校の時のバレンタイン前と教室内の雰囲気が一緒だ!
異世界にもバレンタインがあるの?
あ、でも私みたいな転生者が他にもいれば、可能性はあるよね。
私は近くの大人しそうな女の子に聞いてみた。
「ねえねえ、何かイベントでもあるの?」
「あ、えっとお菓子店のイベントなんですけど、今年初めてバレン・タインデイが開催されるみたいですよ」
「今年からなんだ?好きな人に告白するイベントだよね」
「そうみたいですね、あと友達と交換したり、お世話になった人にメッセージカードを付けて、プレゼントしてもいいみたいです」
まさにバレンタイン!
やっぱり他にも転生者が居るみたいね。
誰か知らないけどありがとう!人脈を広げる絶好の機会じゃん。
よーし!義理チョコ配るぞ。
あと、ちょっといいなって男子には、本命渡そうかな。
メッセージカードに"大好き"って書けば伝わるでしょ。
もちろん本命は、一人にしか渡さないよ。
誰にしようかなぁ。
「教えてくれてありがとね」
「いえ、お役に立てて良かったです」
良い子だ、名前は確かルナリアだったかな?
多分貴族だったと思うけど家名はなんだっけ、同じクラスになって半年以上経っているから今更聞けないな。
まぁいいや、話していればいずれ分かるでしょう。
「私お菓子店の場所知らないんだけど、もし良かったら一緒に行ってくれないかな?」
「私はタインスイートには行きますけど、バレンスイートには行きませんよ?」
「タインスイート?」
「はい、お菓子店の名前です。バレンスイートは貴族向けの高級菓子店、タインスイートは平民向けの低価格な店なんです」
「低価格いいじゃない、タインスイートに私も行きたい」
「それなら、放課後ご一緒しましょう」
「ルナリア、ありがとう!」
「ふふ、エレーナ様は可愛い方ですね」
「あなたも可愛いわ。ねぇルナって呼んでもいい?」
「かまいませんわ」
「やった、それじゃあ放課後ね」
王立ストアール学園に来て、初めて女友達ができた。
放課後楽しみだな。