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04.自由に恋愛していいってスゴイよね

 あれから五年の月日が経ち、私は十五歳になった。

 今日は王立ストアール学園の入学式。


 "貴族平民、学園内では、みな平等"の理念の元、設立された学園だ。

 親が決めた子の望まぬ政略結婚を否定し、恋愛結婚を推奨している。


 異世界で貴族なのに、自由に恋愛していいってスゴイよね。

 現在の国王様が学生の時に、高位貴族の婚約破棄騒動があったんだって。


 あれかな、私みたいな転生者がいたのかな?

 しかも、婚約破棄騒動起こせるって、まさか魅了使ったとか?

 加護は存在するのか分からないけど、この世界には魔術もあるからなー。

 やっぱり、ここは本やゲームの世界で、その子は物語を知っていてハーレムエンド狙っちゃったのかな?まあ、異世界に可愛く生まれたら狙いたい気持ちは分かる。


 で、それから国王様が婚約破棄で国が荒れないように、在学中の政略による婚約は禁止になって、学園にいる間にちゃんと恋愛してから婚約や結婚はするようにってこの学園を設立したみたいね。


 卒業までに相手が見つからなければ、政略結婚もやむなしみたいだけど、確かに学園に居る間じゃなければ、卒業パーティーで婚約破棄だーとかならないよね。


 だからこの学園に入学する人は、ほとんど入学前に婚約者を作ってないみたい。

 爵位も関係ないって事は、女子は誰にも咎められる事なく玉の輿も狙えるからね。愛さえあれば!



 入学式の式典が始まった。

 クラスメイトを見回せば、やっぱり私が一番可愛いと思うの。

 よし、いろんな人に声かけて仲良くなろう。

 男爵家の為の人脈作りと、私の旦那様も探さないと。

 素敵な人がいたら、とりあえず付き合ってみるのもいいかも。自由恋愛って事は、前世と同じって事よね?

 複数同時に付き合うような事をしなければ、大丈夫でしょう。


 そんな事を考えていたら、いつの間にか入学式が終わってた。今日は、クラスの場所に案内されて、自分の座席を確認して終わりらしい。


 これで、やっとイシュトに会いに行ける。

 私は、彼の住む男子寮に向かった。



 イシュトとは、一年前に彼が学園に入学して、それ以来会っていない。

 宝石の台座作りは、本当にイシュトが進めているらしいの。

 だから、進み具合を聞きたかったのに、イシュトは学園の寮に入ったまま長期休みも帰って来なかった。


 今日は絶対捕まえて、話をするんだから!


 男子寮に近付くと、あちこちから視線が飛んできた。

 まぁ、こんな美少女が歩いてたら気になるわよね。

 私はニッコリ笑顔を振りまきながら、目的地へと急いだ。


 久しぶりに見たイシュトは、最後に会った時より背が高くなっていて、少し大人びて見えた。

 寝起きで慌てて起きてきたのか、頭がボサボサだったけどね。


「おー、久しぶり」


「おー、じゃないわよ!何で連絡しないのよ」


「いや、宝石の台座が完成したら連絡しようと思って」


「どれくらい進んでるのか、気になるでしょ!」


「んー、ほれ、第一号をお前にやるよ」



 そう言って手渡されたのは、可愛い花をデザインした銀のネックレスだった。そしてその中心には、小さな宝石がキラキラ輝いていた。



「台座の四隅に爪をつけて、宝石をはめたらその爪を折り曲げるんだ」


「すごい、しっかり固定されてるわ」


「爪が小さいから、金型を作るのに時間がかかった。お前のデザイン画から再現したんだけど、これで合ってたか?」


「完璧でしょう!すごく可愛いわ」


「よかった、エレーナの入学祝いに何とか間に合った」



 私の入学に間に合わせてくれたのか。

 なんて素敵な従兄弟なんでしょう!感動した!



「ありがとう!これで、学園に居る間に宝石が付いたアクセサリーを広める事ができるわ!」


「そうか、でも学生のお小遣いじゃ買えないかもな」


「そんなに高いの?」


「手間かかってるからな」


「学園内の貴族から広めていこうと思ったのに」


「やりかた次第かな?あと、台座の生産が安定すれば、欠片石でもう少し安く作れるかもしれない」


「うむー、ちょっと売り込み方考えてみるわ」


「よろしく、とりあえず渡す物は渡した、俺は寝るぞ」



 そう言って、男子寮の中に戻って行った。

 もう!もっと相談したかったのに。



 はぁ、また今度でいいか、女子寮に行って荷物の片付けでもしようかな。


 私も学園内にある寮で暮らす事になっていた。

 王都に男爵家が出店している宝石店はあるけど、防犯の関係上、私がそこに住む事はできない。

 残念、宝石に囲まれて暮らしたかったのに。


 女子寮に向かって歩いていると、声をかけられた。



「君可愛いね、一年生かな?」


「はい!アズロニア男爵家のエレーナって言います」


「エレーナ、どこかで聞いた名前だな、ピンクの髪……男爵家エレ、ナ……。え? あの?!」



 え?どの?

 初めて会った人なんだけど、私そんなに有名なのかしら?



「失礼しました、私はガルニシア侯爵家次男のダンテと申します。三学年で男子寮の寮長をしています」


「私達どこかで会ったが事ありますか?」


「いえ、お会いするのは初めてです。噂で貴方の事を聞いて、ずっと会ってみたいと思っていました。女子寮に入るのですか?」


「はい、領地が遠方なので寮に入ります」


「では、私が女子寮までご案内しましょう。こんなに美しい方が一人で歩いていては、危険ですから」


「まぁ、嬉しい!よろしくお願いします」



 もう私の噂が上級生にまで? 可愛いって罪よね。

 侯爵家って高位貴族かな?

 優しそうだし、顔も中性的でかなり綺麗なイケメンさん。

 いきなり素敵な旦那様候補ゲット?

 彼を宝石店に連れて行けば、すぐに宝石付きアクセサリーの良さが貴族の間で広まるかもしれないわ。


 女子寮までの道のりは、とても楽しく話ができたと思う。

 私のさりげないボディータッチに常に笑顔のダリル君。

 年上っていっても所詮は18歳、可愛いわねぇ。



「それでは、()()()嬢。また連絡するからね」


「はい、お待ちしてますわ」



 だいぶ打ち解けたわね。

 さーこれから、どんどん素敵な人達と知り合って人脈を広げていくわよ!!

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