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15.心の中で二人に謝った

 窓から光が差し込んで、その眩しさに右手で目を覆いながら、私はゆっくり目を覚ました。


 結局あのまま寝てしまい、制服はシワシワだ。

 今日学園は休みなので、簡単なワンピースに着替えて制服は洗濯に出す事にした。


 この学園の寮は本当に便利で、食堂や洗濯など全て無料で利用できる。

 自分でする事といえば、部屋の掃除くらいかな。


 自室にお風呂もトイレもあって、全て魔道具なんだって!

 少し魔力を流すだけで使えるの。


 平民でも貴族でも、みんな魔力を持っている。

 でも、魔術が使えるほどの魔力を持つ人は、少ないらしい。




 さて、今日は何をしようかな。


 私は、鞄からノートを取り出した。

 あの時描いたデザイン画を確認しようと、ノートを開くと一枚の紙が床に落ちた。



「私とエレナを間違えた人達のリストか」



 ノートに挟んで持ってきてしまったらしい。

 改めてリストを見ると、上級生の方が多かった。

 三年生は五人か……私の本命だったタリル様も、エレナにお返しを渡したのね。

 まだ何も言われてないのに、振られた気分。


 そして、続く名前の中に違和感を感じた。

 もう一度見直すと、私がチョコレートを渡さなかった人の名前があった。


 ダンテ・ガルニシア侯爵令息。


 男子寮の寮長だ。

 彼は、前に私をエレナの代わりにしようとした事がある。

 名前を見るだけで、あの時の恐怖がよみがえり、私は身震いした。


 ここに名前が書いてあるという事は、エレナも彼にチョコを渡していない。



 そういえば、エレナって確か婚約者が居たんだよね?前にイシュトが言ってた気がする。

 だから、ダンテ様は私の側に居て、エレナの代わりにしてたんじゃないかって。


 もしかして、サージス様が婚約者なのかな?

 だから、昨日エレナに誤解されないように気をつけていたのね。



 だとしたら、ダンテ様もエレナが婚約者が居ると知っていていたのに何で……。

 私がチョコレートをあげて、エレナからだと勘違いした人達に便乗してでも、想いを伝えたかったのかな?




 ん?ちょっと待って、もしかして私のせいでややこしい事になってる?


 私が"エレ"と書いたメッセージカードを付けてチョコレートを渡した事により、みんなエレナの婚約が解消されたと勘違いしたとか?


 だから、ダンテ様はエレナにプレゼントを?



 わー!そうだったのね。

 私はすごくエレナに迷惑をかけていたみたいだ。


 婚約者以外の人からのプレゼントなんて受け取れないよね。



 私がやらかした事は、昨日謝ったけど、よく二人とも許してくれたなぁ。

 それだけ二人の想いが強いのかな?



 私はもう一度、心の中で二人に謝った。


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