14.友達になれるといいな
「はぁ、疲れた」
寮の自室に戻り、私は制服のままベットに倒れ込んだ。
あの後、約束通り放課後中庭でエレナと話をした。
とりあえず、今までの事を反省して彼女に謝る事ができて良かったな。
もう、男友達と二人っきりで街に出かけたりしません!
ちゃんと気の合う相手を探して、恋人になってから行きます。
それまでは、友達とタインスイートに行ってロイズ君を愛てます!と心に誓った。
それから、エレナは自分の事を可愛いと思ってない事を知った。
だから、私は全力でエレナは可愛いと力説したんだけど、なかなか信じてもらえなかった。
お昼に話した時も思ったけど、彼女は自分が異性に好かれている自覚がない。
私が贈ったバレンタインチョコを、全員エレナからだと思ってお返しのプレゼント贈るって、確実に願望入ってるよね?絶対みんなエレナに好意があったんだと思うの。
そんなにモテるのに、彼女は全て『それは、私ではありません』でフラグをへし折っていた。
誰が来ても"また間違えて来た"としか思ってないんだろうな。
鈍感なのか、恋に臆病なのか、それとも恋が出来ない理由でもあるのかな?
本題から脱線して、そんな話をしていたら、白銀の髪のイケメンとイシュトが中庭に駆け込んできた。
二人は友達で、エレナが私に絡まれてると思って駆けつけたみたいだ。
まぁ、最初は絡みに行ってたから間違いではない。
エレナは自己紹介をしてイシュトと商売の話を始めた。
商品を作れるかすぐ確認していたので、元々商談はイシュトとするつもりだったのかもしれない。
でも、私一言もイシュトがアクセサリーの作り手だって言ってないんだけど……。
何で知ってるの?!
不思議に思いつつも、二人が真剣に話し合っていたので聞けなかった。
デザインの話が出たので、私は鞄からノートとペンを出してデザイン画を描いてみた。
バレンタインといえば、ハートでしょう!それに天使の羽を付けた。
あまり羽を大きくしすぎると、服に引っかかりそうなので小さくして丸みをつけた羽の形をハートの左右に付けて描いた。
前世ではよくある形だけど、こちらの世界ではハートと羽を組み合わせたデザインは無いみたいで、エレナに喜んでもらえて良かった。
ある程度商品の話がまとまると、エレナとイシュトは価格の話をしていた。
話が難しくて分からなかったので、私の隣に座るイケメンに話しかけたんだけど……。
「初めまして、私エレーナっていいます」
「スワリエ侯爵家のサージスです」
答えてくれたけど、こちらを見る事なく、彼はずっとエレナ達を見ていた。
「サージス様は、エレナと仲がいいんですね」
「そうだね」
話が続かなかった。
彼はエレナに迷惑かけてた私の事が嫌いなのかもしれない。
そう思って、エレナに今までの事は謝罪した事や、これから心を入れ替える事を話していたら、彼はやっと私に目を向けて一言。
「そうじゃないんだ……、ただ誤解されたくないだけだから、僕の事は気にしないで」
と言われた。
つまり私の事は、嫌いじゃなくて興味がないって事ね。
それよりも私と話している所をエレナが見て、何か誤解されるのが嫌だから目を合わさなかったって事?
エレナ愛されてるなぁ。
「わかりました、頑張ってください」
「ありがとう」
あまりの健気さに思わず応援したら、ものすごく良い笑顔でお礼を言われた。
イケメンの笑顔尊い。
私は二人の恋を応援します!
こんな感じで打ち合わせを終えて、私は今部屋のベットで目を閉じる。
今日は疲れたけど楽しい一日だった。
いつかエレナと、友達になれるといいな。




