十 使徒アハト
「帰ったぞ」
「お、お帰りなさいにゃ」
ふぉぉ、か、可愛い
おめめがうるうるしてらっしゃる
ん〃ん〃まずい、キャラが崩壊する
無表情、無表情
無表情をキープしつつ、脳内で喧しく騒いでいると、足元から声がする
「あの、聞いてもいいかにゃ?」
「?あぁ、」
「どこに行ってたんですかにゃ?」
「...」
あの自称神の集団なんて呼ばれてたっけ
つうか、あの会議?の名称すら出てこない
さっきまでは覚えてたんだけどなぁ
すーーーー
助けて、アインス君
全然思い出せないよ
ついでに何をしていたかの説明もよろしく!!
アインスに向かって目で訴えてみる
すると、明らかに渋々といった感じで説明を始める
いや、仕方ないじゃん?!そんな興味ないし、関わる気もないしさ
アインスがいるし、基本困らないじゃないか
「おそらくですが、姫様は元老院の方々にお会いしていたのではないでしょうか」
「にゃ?」
それからアインスはまるで見ていたかのように事細かに話し始めた
...アインスさん、実は見ていたりしませんよね?
うん、やっぱり怖い
アインスに逆らってはいけないと改めて認識した瞬間でした
「つまり、姫神様は僕を使徒にしてくれるにゃ?」
「冗談じゃなくてにゃ?」
「はい、姫様はそのおつもりかと...」
「いえ、寧ろ元老院には既に使徒だとおっしゃられているかもしれませんが」
「本当にそんなことが可能なのにゃ?」
「はい?」
「そもそも使徒と神では本質は全く異なるもののはずにゃ
それなのに姫神様は僕を使徒にするつもりにゃ
もし本当にそれが可能なら姫神様と僕ら神では全く別の存在だと言っても過言ではないにゃ
姫神様が当然の様に行おうとしていることは、『理』自体を捻じ曲げる行為
そんなことが出来てしまえるものを神と呼んでいいのにゃ?」
「寧ろ、」
「そこまでで」
「っ、悪かったにゃ」
「いえいえ、存外頭が回るようで何よりです」
「話は終わったか?」
「はい、姫様」
「姫神様、確認してもいいにゃ?」
「あぁ」
「本当に僕を使徒に?」
「おう」
「それは、可能にゃ?」
「もちろんだよ、私を誰だと思っているんだ?」
微笑みを浮かべて見せると、自称神の黒猫は諦めた様に微笑みを返してくる
人化すると、私の前に跪き告げるのは誓いの言葉
「...この身が滅びるその時まで我が絶対の忠誠を貴方様に」
「受け取った...
今この時より貴様は我が使徒となった
名は『アハト』支配領域【桜妃の離宮ローズクレール】
異論のあるものは?」
そう問うと、アインスを含めた七人の使徒が自称神の黒猫...いや、アハトの横に並び立つ
≪御心のままに≫
そうして、新たな使徒が増えた今日
城の外は不穏な空気が立ち込めていた
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