五 姫の軌跡のその先に
「つまりは、あれか?アインス、私に時の概念をもつ使徒を創造しろと?」
「まぁ、そういうことになりますね、
最近の姫様は、石ころ程度にしか興味のないはずの、世界を眺め、箱庭を創りだし、
必死で何かを探しておられる
それも、大変焦っておられるようだ
姫様の事ですから、時間が足りないのではないでしょうか?」
「ちっ、そこまで察しているのか、お前は、、、優秀なのも困りものだな」
「お褒めに与り光栄です」
「褒めてない」
「それで?姫様、貴方が何を探しておられるのか、教えていただけますか?」
こいつ、さらっと無視しやがった、、、、
「はぁ、、、、、使徒を全員ここへ、、どうせ奴らもきになっているんだろう?
少し昔話をしてやるよ」
、、、まずは、私の本来の力は君たちが言うような、概念ではない、、、【理】だと理解してほしい
まぁ、なんだ、、、概念や創造の上位互換だと思ってくれ
基本的に、この力は使わない、使うのは世界を創造するときと、君たち使徒を創造するときくらいだな
世界、または使徒を創造するには、理を創造しなければならない。
私以外の創種が世界や使徒の創造をできないのは理を創造する力がないからだ
さて、、、話を戻すけれど君たちよりも前に創った原初の使徒と呼ばれる者がいるのは、知ってるね?
あれは【無】の理から創造したんだ
今創造するなら恐らく何の問題もないけれど、、、あの頃の私は未熟だった
本来使徒を創り出すならば、膨大な力を止めておくための強固な器と、
力を制御する為の強靭な魂が必要なんだけど、、
あの子の器は未完成に創られてしまった。
それこそ、力に飲まれ魂が崩壊しかける程にはね
けれど、あの子の魂は強かった、既に自我がちゃんとあったから
でもね、力を制御するには器が弱すぎたんだ、使った理が【無】であったことも良くなかったね。
自我が完全に無くなれば、全てを無に還す殺戮兵器の完成だよ
さっさと滅ぼさないといけなかったんだけど、あの子はとても優しいから、
私があの子を滅ぼしてもなんの恨み言もいわないだろうなって思ったらできなかった
要はあの子を滅ぼす覚悟ができなかったってこと
だからね、あの子の自我が完全に失われる前に封印する事にしたの
決断を後回しにするためにね。
封じ込めれば、自我が完全に失われるのを先延ばしにできるから
まっ、その封印もそろそろ限界でね
封印術式そのものはまだまだ、余裕だよ?
なんせ、封印に使った魔道具は今ある七つの世界の核だもの
世界の核なんて、世界の魂ともいえる代物だ
そんなものになるほどの封印専用の魔道具
そう簡単にガタは来ないさ
でも、あの子の方が限界だ
さっさと器を創らないといけない
でもね、今一から創ったところで到底間に合わない
だから、強固な器となりえる基盤が欲しいんだ
その基盤となりえる可能性をもつ器を持つ者が私の世界のどこかにあるはずなんだよ
私は今、それをずっと探してる
(因みに、現在世界の核となっている魔道具だけど、
元々世界の核として機能するための 力は持っていない
この七つの魔道具を創造する際に使った膨大なエネルギーの残留から
現在の創造の【理】を持つ使徒達が創造された《生みだされた》のだけど、
彼らの器は頑丈だったが、魂は不安定で自我が形成されていなかったため、
なんの守りもなく混沌の中にはいられなかった
姫としては消えてくれても一向に構わなかったのだけど
原初の使徒ならば、守るのだろうと思ったようで、
彼らの守りとして、世界を創造した
ただ、まぁ、姫もそのためだけ創るなんてやるはずもなく、
原初の使徒の封印もしっかりやった結果
封印専用の魔道具が世界の核という
頭の可笑しい事態になった)
使徒達が揃いも揃って神妙な顔をしている
別にシリアス展開でもないと思うんだけど、、?
「姫様、、あなたは何故その可能性があると確信しておられるのでしょうか」
「ハッ、原初の使徒たるあの子が言うんだ、信じない、、なんて選択肢はないだろう?」
「原初の御方と話すことができるのですか⁈」
「さぁな?夢では何度か会ってはいるが、全て私の妄想かもしれないぞ?なんせ夢だからな」
「、、そうですか、では姫様、その可能性を持つ者は見つかりそうですか?」
「いや?全然、全く?」
「はぁ、そんなことだろうとは思ってましたが、、姫様、あなた真面目に探す気あります?」
ぎくっ、、こいつ、実は私がさぼってるの絶対知ってるだろ
こっわいなぁ、アインス、お前下手したら犯罪者予備軍っていわれるぞ⁈
「あ、あるぞ?でも、見つからないんだから、仕方ないじゃないか」
「はぁ、なら、我々がすべきはその原初様の自我が失われるのを更に先延ばしにすることですかね」
「っっっそうだな」
うわぁ~、なにこいつ、そこまでわかっちゃう?まぁ、ね、そうなんだけどね?
時の概念があれば、あの子自身の時を一時的でも止めることができるかもしれないから、欲しいけど⁉
ほんと、こいつどこまで知ってんだろ、、、
まぁ、うん、とりあえず、仲間なら頼りになる
敵なら、全力で殺しに行くけど、、、じゃないと負ける、絶対
つうかアインス、君のせいで他の使徒、空気
一言も話せてないよ?ねぇねぇ、
まっ、別にいいけど、、話しだしたら収拾つかんし
流石、使徒に統括様~~