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樹海の調査3

「ここだ」


 男は立ち止まると腕でアリスを制した。


 この樹海の中で、場所と呼べる場所を見たのは、ここがはじめてだった。ここだけに何故か周囲の木々をブロックする見えない障壁があるかのように、円形に平原が広がり、その中心にとても美しい形の1本の木が生えている。その場所だけに直接の日光が当たり、輝いて見えた。


「わぁ、きれい」


 アリスは思わず声を上げた。


「もっとよく見ろ。あの木の根元だ」


 そう言われて目を凝らすと、確かに何かが見える。木の幹にもたれた何か。


「もしかして、人ですか、……死んでる?」


「いや、もっとよく見ろ。かすかに胸が上下してる」


 年齢はアリスと同じくらいの少年が、美しい木の幹にもたれて、眠っている。


「こんな所にいては危険ですよ。はやく街に連れて帰らないと」


 アリスが1歩踏み出そうとすると、男は強く肘でアリスの腹をついた。


「……アレはどうみてもハンターの類では無い」


「えっ? 確かに装備はつけてないし、服装は普通の村人って感じですけど……」


「だいたい、ハンターが樹海の中で昼寝なんてするわけがない。地に伏すなら、それはヤツの最期だ。……だったら、アレは何だ?」


「何って、人じゃなかったら……」


「それに加えて。気づいてるか? さっき言ったが、この辺り一帯に危険な魔獣はいないって。実はな、アレを中心にして半径数百メートルの円上に、ぜんぶ死んでるんだよ。さっきみたいな殺られ方で」


「そんな、まさかァ……」


「応援が直ぐに来る。とにかくアレを拘束して連れ帰る。それから話はじっくり聞かせてもらう」


「……異論はありません」


 このときのアリスは知る由もない。


 この少年――ユウとアリスが、公認ハンターとして、共に闘いの中に身を投じていくことを。




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