表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/3

樹海の調査2

 ある日、森の中、くまさんに、出会った。


「ッ! こんどは生きてる!」


 先程死体を確認した場所からは、そう遠くない。


 くまさんは4本の逞しい手足で大地を踏みしめながら、ゆっくりと近づいてくる。


 気づかれたか? アリスは気の陰に身を潜めながら、剣を鞘から抜いて、くまさんの動向を警戒する。が、くまさんはアリサを素通りし、そのまま奥の方へ進んでいった。


 いったん胸を撫で下ろしたが、警戒は怠らず剣を構えながら、くまさんの足取りを追跡する。


 しばらくすると、また覚えのある臭いが鼻をついた。死臭だった。くまさんもそれに気づいたのだろう。同族が死んでいるという事実に、何かを危惧したのか、くまさんは歩みを止めて、来た道を引き返そうと、2本足で立って振り返る。


 つぎの瞬間。


「えっ!?」


 くまさんの胸から、大量の体液が吹き出し始めるではないか。体液は地面に散らばることなく一瞬にして蒸発するように消えていく。


 そのままグラグラと身体を揺らして、前のめりに倒れ込んだ。その巨体は、ズシィンと周辺の木々と大地を揺らした。


「は……、は、は?」


 何が起こったというのか。アリスは呆然と立ち尽くした。


 完全に動きを失った、くまさんの身体は、萎れていた。そして、表情はとても安らかで、まるで眠っているかのよう……。


 ここで、アリスの頭の中で、先程の死体と今の光景が重なり合った。


「あぁあ、やっぱりな」


「えっ、誰!?」


 知らぬ、しゃがれた声が背後から聞こえた。アリスは咄嗟に柄に手をかけていた。


「おいおい、やめてくれよ。その剣は魔獣を狩るためのものだろ? 俺はコレでも列記とした人間様だ」


 上から飛び降りるように現れたのは、小汚い痩せ型の男だった。両手を広げて無抵抗であることを示していた。アリスが柄から手を離すと、無精髭の生えた顎をさすりながらニヤニヤした。


「この辺り一帯に危険な魔獣はいないから安心しろ」


「あなたは、一体……。ひょっとして、今のもあなたが?」


「俺は公認ハンター。だが、今のを殺ったのは俺じゃない、残念ながらな」


 公認ハンター。国家からその実力を認められたハンター。国家から多額の報酬や待遇を受ける代わりに、危険かつ重要な任務を任される。ハンターの、エリート中のエリートだ。アリスのような民間のハンターとは格が違う。


「でも、なんで、そんな人がここに」


「お嬢ちゃんもまだまだだねェ。こんなヤバい案件を、チームも組まずに単独行動でやらせるわけねぇだろ」


「た、確かに……それはちょっと思ってましたけど」


「まぁ、今はそれどころじゃねぇ。こっちだ」


 アリスは言われるがままに公認ハンターの男の後ろをついていく。




この話を読んで「面白い」「続きを読みたい」と思った方は、評価、ブックマーク、感想をよろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ