若造辞めます。オトナの男始めます。
「ごめんなさい。私はオトナの男の人が好きなの。」
この言葉とともに、僕の恋は儚く終わった。
「女性は歳上が好み」という事がよく言われている。
僕が今回告白して玉砕した女の子も、歳上好きであった。
確かに17歳の僕には、オトナの落ち着きや、オトナの男の色気はない。
そして、そんなものは簡単に手に入らない。
簡単に手に入る薬とかがあれば今すぐ欲しい。
そのような事を考えつつ、学校帰りにいつものようにドラッグスギヤマを徘徊していた。
すると、風邪薬コーナーにそれはあった。
税込2980円で売っていた。しかも残り一箱。
高校生には地味に高い値段だが、今の僕は何としても「オトナの男」になりたかったので迷わず買った。
家に帰ってからその薬の箱を見ると、次のようなことが書いてある。
・1錠につき1歳歳をとる
・24錠入
・薬の効果は強力なのでよく考えてから使うこと。
どうしようか…。薬が本物かどうかわからないし、そもそも安全なものかどうかわからないとか思い始め、薬を飲むかどうか迷う。
しかし、「オトナの男」になりたいという思いから、とりあえず1錠飲んでみた。
翌朝起きて鏡を見て驚いた。
顔つきがほんの少しだが昨日の自分よりも大人びている。
気のせいかなと思いつつ学校に行くと、クラスメイトから「オトナっぽくなった」とか言われて嬉しかった。
特に、可愛い系の女の子から「なんか雰囲気変わった?オトナっぽくて好きかも」と言われた際にはとても舞い上がり、心の中でガッツポーズを何度もした。
そして確信した。「この薬は本物だ!」
そしてこうも思った。「この薬で『オトナの男』になってモテまくりだ!」