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ガツビィの頭に銃弾を撃ち込もうとしている男の気迫だと。
しかし、途中から、そのプレッシャーのようなものが、男の殺気すら凌駕して膨らんできているのを、全員が感じとった。
空気が重い。
まるで身体中に重りをつけられているような、水の中で動いているような、そんな感覚。
チャツネは、この感じに覚えがあった。
(こ、これは、じいちゃん!?)
ガツビィ・ブロウウィン、『宇宙一の殺し屋』、『早撃ちガツビィ』と呼ばれた男は、自らの顔に向けられた銃に手を伸ばした。
ガツビィの小さな身体から放出されるオーラに飲まれた『バイパー』の男は蛇に、にらまれたカエルのように動けず、引き金を引けなくなった。
「銃を寄こせ、このクソガキがーーーーっ!!」
ガツビィが咆哮した。
男の手にあった銃は、次の瞬間、ガツビィの右手に握られていた。
ガツビィは、すぐさま引き金を引いた。
男の顔面に穴が開き、身体を回しながら倒れる。
この銃声で、ようやく周りの男たちとアーチェラの呪縛は解けた。
ランス以外の男たちが、それぞれ銃を取り出した。
が。
男たちは銃を構える間も無く、次々と撃ち倒された。
「ヒーッ!!」
ランスが悲鳴をあげ、逃げだす。
「は、早すぎる!!」
ランスが、わめいた。
確かに早すぎる。
ガツビィの射撃は異常なスピードと精度であった。




