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「調子に乗りやがって!! ハイブリッドソルジャーを舐めるなよ!!」
ジローが気を吐いた。
壁から上半身を出す。
同時に、ジローのブレスレットから、増強剤が血管に打ち込まれる。
特殊な遺伝子を持つジローの感覚が加速し、周りの速度が遅くなり始めた。
超スピードでの行動を短時間ではあるが可能にする「ブーストON」、これもまた、ジローのハイブリッドソルジャーたる所以だった。
ただし、連続使用は出来ない。
ジローは大口径ハンドガンを、あり得ない命中精度と射撃スピードで全弾発射した。
周りの時間が戻り始める。
ほとんど間隔を置かず爆進する10発の弾丸は、どこへ向かうのか?
ゴライオスのロボットアームのフィールドは、レーザーでは無い実弾は素通りさせる。
その先にあるのは。
ゴライオスのヘルメットの額部分。
1発、2発、3発、4発。
続けざまに弾丸がヘルメットに弾かれる。
5発、6発、7発。
あまりの連続の衝撃に、ついにヘルメットにヒビが入り始めた。
8発、9発。
ヘルメットが砕け散る。
そして、運命の10発目。
大口径ハンドガンの弾丸は、ゴライオスの額に風穴を開けた。
「うぐっ」
ゴライオスは低く唸ると、ゆっくりとその場に両膝を着き、うつ伏せに、どうっと倒れた。
完全に動かなくなる。
「よっしゃー!!」
ジローがガッツポーズする。
「やったね、ジロー!!」
モッキュがジローに抱きつく。
2人の至福の抱擁タイムが始まった。
留置場から、入口フロアに出たチャツネは、ガトリングガンを乱射しまくるゴライオスと出くわした。
幸い、こちらには気づいていない。
チャツネはガツビィを引っ張り、物陰に隠れつつ移動した。




