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床に小さな鍵のようなものが落ちている。
チャツネは床に手を伸ばし、それを拾った。
今どき珍しいタイプの鍵だ。
(何だ、これ?)
鍵に気を取られたチャツネは、自分に接近してくる人物に気づくのが遅れた。
「手を上げろ!」
若い男の声だ。
チャツネが声の方向を見ると、同年齢くらいの男が、大口径ハンドガンを、こちらに向けていた。
男はグスターヴ軍の軍服を着ていない。
一般の宇宙船乗りのスーツ姿だ。
やや、はだけた襟元から見える男の首筋に、小さなバーコードがついているのにチャツネは気づいた。
「手を上げろ! 武器を捨てるんだ!!」
男が繰り返した。
大口径ハンドガンの銃口を突きつけてくる。
チャツネは観念した。
レーザーガンを捨て、両手を上げる。
「モッキュ、そっちのじいさんを頼む」
男が言った。
(モッキュ? どこかで聞いたような?)
チャツネが首を傾げる。
「オッケー、ジロー」
ジローの後ろから、小さな小熊型宇宙人がチョコチョコと進み出た。
(あ! これが「ジロモキュ」か!!)
チャツネはマクスウェルの話を思い出した。
「おじいちゃん、大人しくしてね」
モッキュがガツビィに優しく話しかける。
「ば、ばあさん、生きとったのか!」
ガツビィがモッキュをガシッと抱きしめた。




