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 ショーの音楽で聞こえなくなるギリギリまで、マクスウェルは声を落とした。


「奴は、もうすぐ取引する。『惑星爆弾』を売り払う気だ」


「なるほど、金に換えるつもり?」


「ああ、買い手も見つかった。犯罪組織『バイパー』さ」


「そいつらの噂は聞いたよ」


 チャツネが眉をひそめた。


「ずいぶん、悪どいらしいじゃん」


「儲けるためなら、傷害、強盗、殺し、何でもやる。奴らの活動範囲はやたら広くて、星域連合の各司法機関も、かなり手こずってる」


「『バイパー』は『惑星爆弾』で何をするつもりなの?」


「それは分からない」


 マクスウェルが首を横に振る。


「とにかく、ランスを殺ろうと思ったら、『死神団』だけじゃなく、『バイパー』とも、やり合う可能性がある。今からでも遅くない。依頼は断ったほうがいいな」


 今度はチャツネが首を振った。


「それはない。一度受けた依頼は、依頼主の契約違反がない限り、やり遂げる。ブロウウィン家の掟だよ。ね、じいちゃん」


 チャツネが横を向くと、ガツビィの姿は無かった。


「あれ? じいちゃんは?」


 マクスウェルがチャツネの背後を指差す。


「あそこに居るぜ」


 いつの間にか席を立ったガツビィは、セクシーなダンスを披露する踊り子たちのそばで、かぶりつきで観賞していた。


「じ、じいちゃん!」


「さすが『宇宙一の殺し屋』だぜ」


 マクスウェルが片手で顔を押さえ、天井を見上げて爆笑した。




 周辺の星々の交通の要となる惑星クレルラモンの宇宙港倉庫街。


 照明の薄暗い、その一角で、チャツネとガツビィは、いくつもあるコンテナのひとつの陰に身を隠していた。


 マクスウェルの情報によると、この時間の、この場所で『死神団』と『バイパー』の取引が行われるらしい。


 チャツネは両眼の部分を覆う小型のゴーグルを装着していた。


 ゴーグルから伸びたコードが、プラグによって、首のソケットに差し込まれている。


「さてさて。頼むよ、ポッドちゃんたち」


 チャツネの背負ったバックパックから、直径10㎝ほどの球体が3個、飛び出した。


 チャツネと繋がったゴーグルを介して、自由自在に制御できるサポートポッドだ。


「まずはステルス発動」


 ポッドが光学迷彩によって、透明になった。


 これで相手に気づかれず、偵察することが可能になる。


「さあ、ランスを捜して」


 チャツネのかけ声と共に、ポッドが散っていく。

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